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税務調査の実態とは

法人税や所得税などの自分が納める税金は、自ら計算し申告するという、自主申告による納税を基本としています。

ここではそれらが正しく行われているかを調査確認する、税務調査について、みていきましょう。

Contents

目次

  1. 税務調査の目的
  2. 税務調査の種類と実態
  3. 税務調査の流れと対応方法
  4. 調査対象となりやすい人
  5. せどり事業者の税務調査
  6. 税務調査への心構えと事前準備

税務調査の目的

経営者・事業主であれば**「できれば税金は少ないほうがいい」**と思うのは当然です。節税のために頭を悩ませる方も多いでしょう。もちろん、ルールのなかで税金を抑えようと努めることは悪いことではありませんし、ある意味当然の姿だといえます。

その中でさらなる負担を強いられる税務調査は、そもそもどのような目的でおこなわれているのでしょうか。

公平な課税の実現

法人税や所得税など、自分が納める税金は自ら計算し申告する**「自己申告」**が基本となります。

しかし、国民全員が正しく税金を計算し、納税できればいいのですが、ミスや誤りがあったり、中には納める税金を少なくごまかそうとする人も出てくる可能性があります。

税務調査の役割
皆が税金を公平・平等に負担するよう、税金の計算と申告が正しく行なわれているかどうかを確認し、調べるために税務調査が行われています。

納税者への牽制

「税務署から電話がかかってくるだけでも嫌だ」「いつ来るかわからないからビクビクしている」という経営者の方も多いかと思いますが、これがまさに「牽制」として効果を発揮している状態です。

税務調査に対し、多くの納税者は「もしかすると納税額が増えるかもしれない」という不安を抱いています。

🎁 抑止力としての効果
税務署が納税者に与えるイメージ(税務調査=税負担が増える)が違法行為の抑止力となることで、日々の経理の質を高めているといえます。

税務調査の種類と実態

提出された確定申告書の内容が適正かどうかを確認するのが税務調査ですが、その内容を調べるために税務職員には、申告書を提出した人に質問し、作成された帳簿書類等を検査する権限が与えられています。

この税務調査は大きく次の二つに分かれます。

任意調査

任意調査とは、申告書を提出した人の住所地を管轄する地域の税務職員が行なうもので、適正な申告が行なわれているかどうかの確認を任意で行なう税務調査です。

その名のとおり、納税者の”任意”で売上帳簿や資料を開示してもらう調査ですが、税務職員には納税者に質問や検査のできる『質問検査権』が認められており、正当な理由なく質問に答えなかったり、資料の開示を拒んだりすることはできません。

重要な注意点
任意の調査だからといって拒否できるものではありません。

強制調査

強制調査とは、税務署の上位機関である国税局が実施する査察(いわゆるマル査)で、不正な手段で故意に脱税しているような悪質な行為に対し、犯罪捜査に準じる方法で行なう税務調査です。

そのため裁判所の許可を得て、納税者の承諾の有無にかかわらず、強制的に捜索や差し押さえを行なうことも可能です。

任意調査の種類と内容

上述の2つのうち税務調査と言えば、通常は任意調査を指します。

予告調査と無予告調査

いわゆる一般的な税務調査、任意調査のなかには、あらかじめ電話などで調査日が通知される『予告調査』と、予告なしで行われる『無予告調査』とがあります。

突然、税務職員が自宅や店舗を訪れても、留守や定休日だと調査ができないため、ほとんどの調査は、予告調査です。

無予告調査の条件
無予告調査は、国税通則法第74条で『事前通知を要しない場合』として規定されている特別な調査です。証拠隠滅や改ざん、逃亡を図る可能性などの要件を満たさない場合は、行われることはありません。

💡 一般的なケース
任意調査を受ける納税者のほとんどが、予告調査を行われていることになります。

準備調査

任意調査においては、通常実地調査に先立って、あらかじめ『準備調査』と呼ばれる事前段階の調査を税務職員が行います。主に以下のものが行われています。

📌 準備調査の種類

  1. 机上調査 – 独自に収集した資料などを申告書に照らし合わせる、税務署内で行われる調査
  2. 外観調査 – 店舗の外観や、駅からの利便性等の立地、出入りの様子からの客数の推量、単価などを確認するためのもの
  3. 内観調査 – 内偵調査とも呼ばれ、税務職員が対象の飲食店に客として出向き、客数や客単価なを調査するなどのケースがある

実地調査

準備調査で調査するポイントが絞り込まれ、納税者とスケジュールを合わせたうえで、税務署員が対象者の元へ出向き、各種資料と突き合わせ申告内容が正しいかどうかを実際に現地で確認する『実地調査』が行われます。

📌 実地調査の種類

  1. 一般調査 – 税務職員と納税者が対面して帳簿などを基に行うもの
  2. 現況調査 – 事前の連絡なしに抜き打ちで行われる(主な対象は飲食店や現金商売をする企業)
  3. 反面調査 – 対象者の取引先や顧客、銀行や証券会社などに対して行われる
  4. 簡易調査 – 電話や郵送により行われる
  5. 特別調査 – 準備調査の結果一般調査では不十分とされた場合に行われる。一般調査よりも長期間にわたって調査されることになる

このように税務調査にはさまざまな種類があり、種類によっては、個別の対応策が必要なケースもあります。

🎁 事前準備の重要性
税務調査の分類や流れを把握しておき、もしものときに慌てないよう、帳簿などの資料と共に、心の準備もしておきましょう。

税務調査の流れと対応方法

税務調査がどういった流れで行われるのか、また対応方法についても確認していきましょう。

税務調査手続の流れ

税務調査は国税通則法でその手続きが定められています。順番に確認していきましょう。

🔗 参考法令
国税通則法

事前通知

税務調査は原則として「実地の調査」となります。法人であれば本店や事務所、個人事業主であれば住所又は事務所で行われます。バーチャルオフィスなど立ち会えるオフィスがない場合は、税務署内や顧問税理士の事務所などで実施します。

税務署は納税者に対し以下の項目を事前に通知する**「事前通知」**を行います。

事前通知の内容

  • 調査の開始日時
  • 開始場所
  • 調査対象税目
  • 調査対象期間
  • 調査の対象となる帳簿書類その他の資料

このとき、顧問税理士がいる場合は税理士に対しても同様に通知がされます。

💡 日程調整
日程については税務署から提示がされますが、都合が悪い場合は変更が可能です。

調査当日(質問検査等)

調査当日、調査官が到着すると、お互い初対面であることから、最初に挨拶から始まります。調査官には身分証明書の携帯と求めに応じて提示する義務がありますから、調査官本人かどうかを確認する必要があります。

挨拶を終えるといきなり資料確認に入ることはなく、世間話などで緊張をほぐしてから基本的な聞き取り調査が始まります。

⚠️ 言ってはいけないこと
世間話とはいえ、担当官は会話の中から調査に関係がありそうなネタをしっかりと記録しています。取引先の具体的な名前や取引の詳細、金額など、聞かれてもいないのに具体的な説明をする必要はありません。

🎁 対応の基本
ここで話したことと、後でチェックする書類との矛盾が生じると徹底的に突っ込まれるので、**「聞かれたこと以外は答えない」「最低限の情報を伝える」**を徹底しましょう。

聞き取り調査

税務調査の聞き取りでは、以下のような内容の質問を受けることになります。

質問概要
・個人的な経歴
・現在の事業に関する概要(業界、業種の概要、業界の特殊性、自社の事業内容、具体的な取引の流れ、最近の商売の概況)
・帳簿状況の確認(取引記録帳簿の詳細、作成者、保管場所)
・現金、預金、商品の管理について

「どういったきっかけで今の事業を行なうことになったのか」「開業する前はどのような職業に就いていたのか」など、現在に至るまでの流れや背景の聞き取りが行われます。

しかし、これらはあくまで参考情報としての聞き取り、あまり神経を使う必要はありません。個人的な経歴の確認を行なった後、現在の事業に関する概要や各確認事項について詳細の質問がなされます。

🎁 事前準備の効果
想定される質問への回答を考えてみると、自然と日々の業務の整理整頓にもつながりそうですね。

帳簿書類の預かり

調査官は上記のような質問を通じて事業の状況を把握し、重点的に調査すべきポイントを絞り込んだうえで帳簿書類の確認を進めていきます。

書類預かり
必要がある場合には、納税者の承諾を得た上で、書類の預かりを行います。

取引先等への調査

調査官は必要に応じて、取引先や雇用主などに対し、質問や検査等を行うことがあります。

調査結果の内容の説明と修正申告や期限後申告の勧奨

申告内容に誤りが認められた場合や、申告する義務がありながら申告していなかったことが判明した場合には、調査結果の内容(誤りの内容、金額、理由)を説明し、修正申告や期限後申告を勧奨します。

また、修正申告等を勧奨する場合においては、修正申告等をした場合にはその修正申告等に係る再調査の請求や審査請求はできませんが、更正の請求はできることを説明し、その旨を記載した書面が渡されます。

更正と決定

修正申告等の勧奨に応じない場合には、税務署長が更正又は決定の処分を行い、「更正」又は「決定」の通知書が送られます。

税務署長が「更正」又は「決定」の処分を行うことができるのは、原則として法定申告期限から5年間です。ただし、偽りや不正の行為により全部若しくは一部の税額を免れ、又は還付を受けた場合には、税務署長は法定申告期限から7年間、更正又は決定の処分を行うことができます。

🎁 不服申立て
更正と決定は、税務署が納税申告について行う処分です。処分内容に不服がある場合、納税者は異議申し立てができます。

「期限内」の申告なら『更正』

期限内申告で税額を修正する場合の手続きが「更正」です。

税務署が申告書を確認したうえで、徴収した税金が過大であったり過小であったりした場合に、本来の適正な額に直す手続きです。

更正の種類
増額更正と減額更正の2つがあります。

「期限後」の申告なら『決定』

期限後申告で税額を修正する場合の手続きが「決定」です。

つまり、申告書を期限までに提出せず無申告だった場合は「決定」の手続きとなります。申告義務のある人が申告や納税を行わない場合、税務署が独自の捜査によりその人の納めるべき税額を決定します。

調査対象となりやすい人

一般的に下記項目に該当している人が税務調査の対象になりやすいと考えられます。

⚠️ 調査対象になりやすいケース
・利害関係者などから個別の情報が税務署へ漏れた場合
・毎年、国税局や税務署が決めている重点調査業種目の事業を実施している事業者
・過去の調査において、不正常習や多額の所得漏れなどの指摘を受けた事業者
・特別損益科目に多額の損失が計上されている事業者
・売上総利益の変動が著しい事業者
・外注費率高い事業者
・遠隔地との取引が多い事業者
・黒字法人で調査がしばらく行われていない事業者
・消費税の還付を多額に受けている事業者

実務上、上記項目に該当している事業者の場合、税務調査が行われる可能性が高いと予想されます。

近年傾向で税務調査も変化

近年では、働き方改革や新型コロナウイルスの流行によってリモートワークの普及により、これまで会社に雇われて働いている会社員がフリーランスなどの個人事業主や法人成りをして働く人が非常に増加しています。

税務署ではこのような背景から、事業を開始して1年目から多くの利益を出している事業者についても税務調査を行う可能性が非常に高くなっていると考えられます。

💡 専門家への相談
事業を開始して間もない事業者は、初年度から税務調査で目をつけられるなど後々のトラブルを防ぐためにも、税理士などの専門家へ会計や税務の相談をされておくことをおすすめ致します。

せどり事業者の税務調査

特に、せどり事業者が税務調査の際に注意すべき点についてお伝えします。せどり事業者の特徴や近年のインターネットの活用がきっかけとなって税務調査につながるケースもあります。

取引状況で注意すべき点

売上や利益の急な増加・減少など、帳簿の数字の変動によって税務調査の対象となる場合があります。

売上や利益の急な増加

売上や利益が前年から急増すると、税務署は**「本当は前の年から取引があったのでは?」**と疑いを持ちます。

税務調査で最もコスパがよいのは**「売上漏れを発見する」**ことです。手っ取り早く追徴課税をしたいのであれば売上漏れを指摘するのが一番です。

税務署は売上が急増した年の前年以前に売上漏れが無いかを重点的にチェックします。

大幅な赤字

反対に、大幅な赤字となったときも怪しまれます。せどり事業者は**「薄利多売」**ですので、利益率が低い反面、そこまで大きな赤字になりにくいのが特徴です。

異常な赤字となっている場合、帳簿付けが誤っている可能性やプライベートな支出を経費に入れている可能性を指摘されて調査につながることがあります。

インターネットやSNSで注意すべき点

税務署は脱税や無申告、過少申告のヒントとなるような情報を日々探しています。近年ではインターネットやSNSも情報源の一つとして活用されています。

税務調査は非常に労力がかかり、税務署もできるだけ効率的に実施したいと考えているので、机上調査を組織的に行っています。

フリマ、Amazon、ECサイト等の公開情報

フリマやAmazonなど、公開されている情報の範囲でリサーチされる可能性があります。特にフリマは出品情報が公開されますので、ある程度売上規模が予想されます。

Amazonも出品者情報が開示されるので、確定申告の情報と突合されて無申告などが無いかチェックされる可能性があります。

SNSの投稿には要注意

SNSでのいわゆる「煽り投稿」や「成果報告」などは格好のネタとなります。承認欲求や自己顕示欲に負けて不要な情報をさらしてしまうと後で痛い目を見ますので、情報開示はほどほどにしておくのがよいでしょう。

副業のネット取引、所得申告漏れ年116億円…フリマ転売も対象「バレると思ってなかった」

「税務署にばれるとは思っていなかった」。福岡県の30歳代の会社員男性は福岡国税局の税務調査を受け、驚いた様子だったという。

男性は小遣い稼ぎで、質屋などで購入した中古のブランド品を複数のフリマサイトで転売するなどしていた。年間100万~500万円の利益を得たが申告せず、21年までの5年間の申告漏れは計約1800万円に上った。昨年、無申告加算税を含め約140万円を追徴課税された。

参考:読売新聞オンライン

🎁 インフルエンサーの注意点
フォロワーの多いインフルエンサーなどはアフィリエイト報酬があるはずと当たりをつけられますので、ネットで目立てば目立つほど、適正な申告を余儀なくされるわけです。

税務調査への心構えと事前準備

税務調査には事前準備と実際の現場での心構えが重要になります。

事前準備

調査前には必要な書類をそろえることになる他、確認しておくべき事項があります。

過去の税務リスクの洗い出し

申告書、元帳等の帳票類、領収書、通帳の準備

調査官の指示を受けた年度分を用意します。通常は直近3年から5年分になります。また、「棚卸資産の評価」「減価償却の方法等の届出書」など、過去の届出書や申請書も準備します。

売上、仕⼊れの計上時期

期間損益のずれで税務否認されることがあります。期末の売上・収入の計上時期や計上方法について確認しておきましょう。

例えば売上や経費を「多く」または「少なく」するために翌期などに計上しているケースが該当します。特に個人事業主の場合は期末直前に発生した費用などを申告時期で忙しくてついつい翌期で計上しているケースもありますので注意が必要です。

固定資産台帳にある資産

税務調査官がよくチェックするポイントに「個人で買った資産を会社で計上していないか?」「架空の修繕費などを計上していないか?」といった点があります。調査官から求められた際にすぐに提示・説明ができるよう1点ずつ把握しておきましょう。

組織図や社内規程の確認

架空の支払給与や実際には所属していない親族等へ給与の支払いがないかも確認の対象となります。給与の支払と組織図・社内規程が一致するかまで確認する場合がありますので、整合性が取れているかを事前に確認しておきましょう。

⼀定額以上の会計のレビュー

  1. 契約書・議事録の⾒直し
  2. 税務調査の⽇程調整
  3. 机の中、机の上、⾦庫の整理
  4. リハーサルの実施
  5. ミスの速やかな修正申告
  6. 納得して終えるための意思統⼀

直前に慌てることのないよう、税理士に相談するなどして必要書類がすぐ揃えられる会計整備状態にしておくことも大切な準備といえます。

参考:税務調査110番

臨場時の心構え

税務調査が来たからといって、納税者が絶対に何か悪いことをしている、税務署が物証を握っているとは限りません。特にやましいことをしていなければ、調査官の聞かれたことに素直に回答するだけで良いです。

⚠️ 嘘をつかない
調査をしていく中で説明する内容に矛盾が生じた場合、調査官はさらに詳細に不正を行っていないかを疑い、調査をより厳しくすることに繋がりかねません。

税務調査を受けるメリット

税務調査が入ることになると、何もやましいことはなくても、気持ちのいいものではありません。そのため誰もが避けたいと思います。

しかし、見方を変えては、数年に一度、プロの税務職員がわざわざ自分のために税金のチェックを無料でしてくれると考えると、メリットも感じられるのではないでしょうか。

💡 成長のチャンス
税務調査を通じて自分が気づかなかった経理の弱い部分や、経営における改善点などの気づきを得られる場合もあれば、調査によって今まで知らなかった従業員の不正が発見できることもあります。

調査する側の視点の意見を聞くことが出来る

自分ではベストな方法だと思っていたやり方も、多くの会社を見ている税務職員に聞いてみることで、同業他社での方法を教えてもらえることもあります。

ネガティブに捉えがちな税務調査ですが、避けられないものであれば、自分のビジネスをよりよくするチャンスと受け止めるのも考え方次第です。

日頃からの基本的な準備が大切

税務調査がいつ入っても大丈夫なように、**「日頃から根拠となる証票書類は必ず保管する」、「事業に使用していない取引の計上は絶対にしない」、「プライベートと兼用のものであれば事業割合に応じて按分する」**など、基本的なことをしっかりと守るように会計処理を心がけていきましょう。

🎁 正しい記帳の重要性
**税務調査だからといってむやみに恐れる必要はありません!正しい記帳と、適正な帳簿をしっかりと保存しておけば、何もやましいことはないはずです。**自社の経理体制を強くするきっかけとして、税務調査を有効活用しましょう!

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