新NISAの制度と仕組み
昨今は預貯金の利率が低いことなどもあり、資産を効率よく増やすために株式や投資信託などで資産運用を行おうと考える方も増えてきています。
このページでは新NISAとはどのような制度なのか、NISAの基本からわかりやすく解説していきます。
Contents
NISAとは

NISA(ニーサ)は、少額からの投資を行う個人投資家のために2014年1月にスタートした「少額投資非課税制度」です。
💡 NISAの由来
イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)をモデルにした日本版ISAとして、「**NISA(ニーサ・Nippon Individual Savings Account)」**という愛称がつけられました。
NISAの概要
NISAの最大の特徴は税制面の優遇です。
通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当・分配金に対して**「約20%の税金」**がかかります。
一方で、NISA口座で投資した金融商品から得られる利益は非課税になります。
株式投資にかかる税金
所得税は**「超過累進税率」**を採用しております。
これは、所得が上がれば上がるほど税率が上昇し、最高で55%(所得税45%、住民税10%)まで税率が設けられています。
申告分離課税
株式投資にかかる税率はその利益にかかわらず20%(所得税15%、住民税5%)で固定されています。
これは、株式等を譲渡したときの所得は、「譲渡所得」として他の所得と区別して計算する**「分離課税」という特例**が認められているからです。
株式の売却でどれだけ利益が出たとしても、税率は一定ですので他の所得よりも有利に計算することができます。
⚠️ NISAの優位性
株式投資についてはただでさえ有利に設定されている税率ですが、NISAを活用することで**「0%」**にすることができるので非常に有利な制度だと言えるでしょう。
NISAを利用するには
📌 利用条件
- 日本国内に住んでいる18歳以上の方
- 口座は1人につき1口座のみ開設可能
- 金融機関の変更は、年単位で可能
NISAを利用するには、銀行や証券会社などにNISA口座を開設する必要があります。
✅ 早めの口座開設がおすすめ
口座開設までには時間が掛かるので、ひとまず作成しておくことをおすすめします。
投資のリスクとリターン

株式や投資信託などの運用商品に投資することで、預貯金よりも高いリターンを期待することはできますが、元本割れのおそれもあります。
そのため、投資はハードルが高く不安かもしれませんが、ちょっとした工夫でこうした不安と上手に付き合いながら、資産形成に取り組むことができます。
金融商品ごとのリスク
実は銀行の預貯金も金融商品の一つとなります。
元本割れの心配がない低リスクの商品から、元本保証は無いが高いリターンを期待できる商品もあります。
📝 リスクとリターンの関係
リスクとリターンは相関関係にあるため、リスクが低ければ低いほどリターンも低く、リスクが高ければ高いほどリターンも高いとされます。
投資のメリット
それぞれの投資手法ではどのようなメリットがあるのでしょうか。
長期投資のメリット
毎月1万円ずつ積み立て、年利3%で運用した場合、以下のような投資リターンがあります。
| 期間 | 元本 | 運用結果 | 利益 |
|---|---|---|---|
| 10年 | 120万円 | 約140万円 | 約20万円 |
| 20年 | 240万円 | 約328万円 | 約88万円 |
| 30年 | 360万円 | 約583万円 | 約223万円 |
投資や預金などで得た収益を、当初の元本にプラスして運用することで得られる利益を**「複利」**と呼びます。
💡 複利の効果
長期間投資を続けると複利の効果が大きくなり、うまく活用することで安定した収益の確保が期待できます。
積立投資のメリット
積立投資とは一括で投資するのではなく、「あらかじめ決まった金額」を「続けて」投資することです。積立投資することで安いときに買わなかったり、高いときにだけ買ってしまうことを避けることが出来ます。
分散投資のメリット
1つの資産だけに投資するより、値動きが異なる複数の資産(国内/海外、株式/債券/不動産など)に分散して投資を行うことで、価格の変動をある程度抑えられ、安定的な運用を目指すことができます。
旧NISAと新NISAの違い

NISAは2014年にスタートした制度ですが、2024年から大幅に制度が改正されています。
2023年までのNISA(旧NISA)と、2024年からのNISA(新NISA)との違いを確認しておきましょう。
非課税保有期間が無期限に
非課税保有期間は**旧NISAは「つみたてNISAでは20年間/一般NISAでは5年間」でしたが、2024年からの新NISAでは「無期限」**となりました。
✅ 長期投資がより有利に
非課税保有期間を気にすることなく、さらに長期投資を行いやすくなりました。
口座開設期間が恒久化
新NISA制度の導入により、NISA制度自体が恒久化されました。
旧NISAは時限的な制度でしたが、新NISAは恒久的な制度になったため、より長期的な視点で資産形成に取り組めるようになりました。
つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能
新NISAでは、「つみたてNISAがつみたて投資枠」に、「一般NISAが成長投資枠」に引き継がれ、併用が可能になりました。
これにより、つみたて投資枠で積立投資を継続しながら、成長投資枠で個別銘柄に一括投資することも可能になりました。
年間投資枠が最大360万円に拡大
つみたて投資枠がつみたてNISAの3倍の年間120万円、成長投資枠が一般NISAの2倍の年間240万円に拡大されました。
併用により年間投資枠が『合計360万円』まで拡大しました。
非課税保有限度額(最大1,800万円)が新設
生涯を通じての非課税保有限度額が新たに設けられ、**「1,800万円が上限」**となりました。
内訳としては、つみたてNISAは600万円、成長投資枠は1,200万円です。
💡 夫婦での活用効果
これは1人あたりの枠ですので、夫婦であれば合計3,600万円まで投資可能になります。老後の資産形成において新NISAは非常に重要な要素になると言えるでしょう。
旧NISAでの保有額は別枠
旧NISAでの保有額は、新NISAの非課税保有限度額(総枠)の1,800万円とは別枠で管理されます。
旧NISAはもう新規に投資することができないので、これまで旧NISAに投資していた方はさらに枠が増えることになるためよりお得に投資ができることになります。
非課税保有限度額の再利用が可能
商品を売却した場合、翌年以降売却した商品の簿価(取得金額)の分だけ非課税投資枠が復活し、再利用が可能になります。
📝 より柔軟な投資が可能
制度が恒久化されたため、期限を意識して無理して銘柄の入れ替えなどをする必要がなくなり、より自由な投資が可能となりました。
新NISAの特徴

2024年から開始する新NISAについて詳しく確認していきましょう。
NISAには**「つみたて投資枠」と「成長投資枠」**の2つの枠があり、それぞれの枠に制限や特徴があります。
つみたて投資枠
つみたて投資枠は**「商品と買付方法が限定されているから初心者でも始めやすい」**という特徴があります。
年間投資枠
つみたて投資枠の年間投資枠は120万円が上限となり、毎月の積立額は10万円が上限となります。
積み立て投資が目的のため、一度に高額の投資はできない設計になっています。
投資対象商品
つみたて投資枠で投資できる商品は**「金融庁の基準を満たした投資信託」**に限定されています。
手数料が安かったり、比較的安定した運用成績を残しているなどの要件をクリアした商品が多く、初心者でも安心して投資できるという特徴があります。
買付方法
つみたて投資枠の買付方法は「積立投資のみ」となります。
リスク分散のため、一括投資はできない設計となっています。
つみたて投資枠の活用方法
つみたて投資枠は投資信託での分散・積立投資という点から、長期的な資産形成に向いています。
積立なら買うタイミングで悩まずに続けやすいという点もポイントです。
年間投資枠が120万円あるため、複数の目的に向かって活用できるでしょう。
✅ オススメの投資目的
- 積立投資でじっくり堅実な運用をしたい
- 教育資金や住宅資金など少し未来の資金づくりをしたい
- 老後資金の備えなど長期的な資産形成をしたい
成長投資枠
成長投資枠は**「幅広い商品への投資が積立でも一括でもできる」**という特徴があり、初心者から投資経験が豊富な中級者~上級者が投資対象とする商品もカバーしています。
年間投資枠
成長投資枠の年間投資枠は240万円が上限となります。
つみたて投資枠より大きな枠が設けられており、資金に余裕のある方がより投資しやすくなっております。
投資対象商品
成長投資枠で投資できる商品は**「国内株式、外国株式、投資信託」と幅広い**です。
優待目的の株式やIPO、話題の米国株式も対象となっており、リスクの取れる投資家でも積極的にNISAを活用することが可能となっています。
買付方法
成長投資枠の買付方法は**「積立投資・一括投資ともに可能」**となります。
目的に応じて買付方法を選べるので、株価が高いと思ったら投資額を減らして、安いと思ったら投資額を増やすという柔軟な投資が可能です。
📝 つみたて投資枠との併用
積立投資も可能なので、つみたて投資枠で投資枠を使い切れない場合でも成長投資枠で積立投資をすることができます。
成長投資枠の活用方法
成長投資枠は株式にも投資信託にも投資が可能であり、短期売買から長期での積立まで 目標や資金に合わせて幅広く活用できます。
成長投資枠では、投資信託の他、国内外の株式やETFなど多くの商品に投資できます。
投資信託も、つみたて投資枠よりも対象商品が圧倒的に多く、アクティブファンドも数多く含まれます。
より積極的な運用にも、つみたて投資枠と同様の長期投資にも幅広く活用できます。
✅ オススメの投資目的
- 短期売買で株式の値上がり益を狙いたい
- 中長期で高配当株式や優待株を保有したい
- 株式や投資信託の積立で長期投資をしたい
利回りシミュレーション

新NISAの年間の最大投資枠は「360万円」です。
つまり、月5万円の積立投資を30年続ければ、1,800万円の投資枠を使い切ることができます。
30年間、月5万円の積立投資を続けると、どの程度の運用成果が得られるかシミュレーションしてみましょう。
想定利回り
長期投資のリターンは一般的に4~8%と言われています。
投資のリターンは、短期的に見ると上がる年もあれば下がる年もあり、大幅に上昇する年もあれば小幅な上昇にとどまる年もあります。
💡 長期投資の平均リターン
これらの変動を20年程度の長期間でおしなべて平均すると、概ね4~8%くらいの間で収まるという統計結果が出ています。
シミュレーション(平均利回り5%)
金融庁のつみたてシミュレーターを使用して、投資により将来の資産額がどれくらい増えるのか計算してみました。(※シミュレーションでは5%の利回りで計算)
| 年数 | 元本額 | 運用資産額 | 運用収益 |
|---|---|---|---|
| 3年目 | 180万円 | 194万円 | 14万円 |
| 6年目 | 360万円 | 419万円 | 59万円 |
| 9年目 | 540万円 | 680万円 | 140万円 |
| 12年目 | 720万円 | 984万円 | 264万円 |
| 15年目 | 900万円 | 1,336万円 | 436万円 |
| 18年目 | 1,080万円 | 1,746万円 | 666万円 |
| 21年目 | 1,260万円 | 2,222万円 | 962万円 |
| 24年目 | 1,440万円 | 2,774万円 | 1,334万円 |
| 27年目 | 1,620万円 | 3,416万円 | 1,796万円 |
| 30年目 | 1,800万円 | 4,161万円 | 2,361万円 |
毎月5万円を積立、平均利回り5%で30年間運用した場合、**「投資額1,800万円が4,161万円」**と倍以上になる計算となりました。
⚠️ 複利の威力
積立額が増加する投資の後半時期に急速に元本が増加しています。これは投資の利益を元本に再投資することで複利の効果を得られるため、投資の年数を延ばせば延ばすほど運用効果が高まることが理由です。
NISAの非課税枠のメリット
もし30年後に売却した場合、売却益2,361万円に税金がかかると、約472万円を納税しなければなりません。
NISAの非課税枠を最大限活用すると税金が0円になりますので、NISAは非常にお得な制度だと言えるでしょう。
おすすめの投資対象

実際に投資対象を選定するときに注目すべき点をいくつかご紹介しますので、銘柄選定の際にご参考にしてください。
信託報酬が安いものを選ぶ
信託報酬とは、投資信託を管理・運用してもらうための経費として、投資信託を保有している間に投資家が支払い続ける費用のことです。
投資信託の種類によって信託報酬は異なりますが、年0.5~2.0%程度が主流です。
ただし、別途支払うのではなく、信託財産の中から「純資産総額に対して何%」といったように毎日差し引かれます。
インデックスファンドは信託報酬が低い
一般的に特定の指数への連動を目指すインデックスファンドのほうが、ファンドマネージャーの手腕が問われるアクティブファンドより信託報酬が低い傾向があります。
✅ 長期投資には低コストが重要
信託報酬が高いほど運用成績が下がりますので、長期投資をする場合は信託報酬が低い商品を選ぶとよいでしょう。
純資産が多いものを選ぶ
純資産とは、その投資信託(ファンド)にどれだけの資金が集まっているか、つまりどれだけ人気があるかということを示しています。
注意していただきたいのは、「純資産が大きい=利益の出る商品ではない」という点です。
📌 純資産の重要性
ファンドは運用成績が伸び悩んだり、資金が集まらないと解散し、運用が終了してしまいますので、長期的に安定した運用をするためにはなるべく純資産が多い商品を選ぶとよいでしょう。
💡 純資産と運用成績は別
純資産が少なくてもリターンがよい商品もありますので、運用成績と純資産は関係ないということは覚えておいてください。
詳しい分野に投資する
株式や投資信託を選ぶ際に、自分が詳しい業界や分野の企業の株や、投資信託を選ぶのもオススメです。
自分が詳しい分野だと、今後伸びるかそれとも伸びないかの判断もつきやすく、投資する楽しみが出てくるでしょう。
投資信託の中にはテーマを設定してそれに関する企業の株式を集めて運用するものもあります。
その分野が伸びると他のファンドよりも運用成績がよくなる可能性が高まるので、積極的な投資をしたい方は自分が詳しい分野に投資してみるのもいいでしょう。
⚠️ インサイダー取引に注意!
自分の働いている会社や、重要情報を知った会社の株を買うとインサイダー取引に該当して犯罪行為とされる場合がありますので注意しましょう!
運用レポート・目論見書を見て決める
投資信託は必ず購入前に「目論見書(もくろみしょ)」という投資信託に関する説明書を読む必要があります。
目論見書には、どの銘柄にどれだけの割合で投資しているか、手数料はどれくらいかなど、ファンドに関する詳細な情報が記載されています。
しかし、実際には専門用語が多すぎるのと、ボリュームが多く全てに目を通すのは困難なので、月次レポートで運用成績をチェックすると良いでしょう。
✅ 月次レポートの活用
ほとんどの投資信託は月次レポートがあり、必要最低限の情報をコンパクトにまとめているので、投資の判断材料として必ず目を通しておきましょう。
代表的な投資信託
信託報酬が安く、純資産が多いもので定番と言われる銘柄をご紹介します。
こちらはスマカクが投資を推奨しているものではなく、一般的に購入対象として知名度が高いという観点でご紹介しています。
🔗 楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド
いわゆる「全世界株式(オールカントリー:オルカン)」と呼ばれるファンドの一つです。信託報酬が0.0561%と非常に低く設定されているのが特徴です。
🔗 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
こちらも「オルカン」に投資するファンドです。信託報酬は0.05775%と非常に低いです。純資産が約3兆8,500億円と大人気のファンドです。
🔗 楽天・S&P500インデックス・ファンド
アメリカの代表的な株価指数「S&P500」に連動するように投資するファンドです。信託報酬が0.077%と非常に低く設定されているのが特徴です。
🔗 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
こちらも「S&P500」に連動するように投資するファンドです。信託報酬が0.09372%と非常に低く設定されています。純資産が約4兆8,970億円と日本で最も人気のあるファンドです。
まとめ

投資をする際に重要なこととして、長期的な視点を持つということがあげられます。
新NISAの開始により、投資期間に制限がなくなったことからより長期目線での投資ができるようになりました。
しかし当然ですが、投資にはリスクがあります。投資をするうえでの注意点を頭に入れておきましょう。
投資のリスクとリターン
投資は元本保証ではなく、上がるときもあれば下がるときもあります。
しかし、長期投資・積立投資・分散投資を継続することでリスクを減らし、リターンを得やすくすることが可能です。
✅ 長期的視点を持とう
目先の株価の上げ下げや為替の変動に気を取られすぎず、長期的視点で投資を続けていきましょう。
貯蓄と事業資金のバランス
あくまで本業は自分が行っている事業であり、金融投資だけでなく事業に投資することも重要です。
人それぞれ環境や状況が異なります。自分の状況を知り、余裕をもって投資をすることがとても重要です。自身の「リスク許容度」も踏まえて投資を行いましょう。
💡 バランスが重要
余剰資金として貯蓄や金融投資に回すのか、それとも事業資金として人や物に投資をしていくのかのバランスを考えて投資は行うことが大事です。
新NISAを活用しよう
NISAの最大のメリットは**「投資にかかる税金が非課税になる」**という点です。
株式の譲渡にかかる税金は優遇されているとはいえ、通常は20%を納税しなければならない中で、非課税になるNISAは非常にお得だということがわかります。
新NISA活用のポイント
1. 早期開始の重要性
新NISAは恒久制度となったため、早く始めるほど複利の効果を長期間享受できます。
💡 時間を味方につける
投資において最も強力な武器は「時間」です。早く始めることで、より大きな資産形成効果が期待できます。
2. つみたて投資枠から始める
投資初心者の方は、まずはつみたて投資枠から始めることをおすすめします。
✅ 初心者におすすめの理由
- 金融庁が認めた優良な投資信託のみが対象
- 積立投資でリスク分散効果
- 少額から始められる
3. 家族全体での活用
夫婦それぞれがNISA口座を開設することで、世帯全体で年間720万円(3,600万円の非課税枠)まで投資が可能になります。
4. ライフステージに合わせた活用
20代・30代
- つみたて投資枠中心の長期積立投資
- 教育資金や住宅購入資金の準備
40代・50代
- つみたて投資枠と成長投資枠の併用
- 老後資金の本格的な準備
60代以降
- 成長投資枠での個別株式投資
- 配当や分配金を活用した収入確保
- 税理士視点での法人と個人事業主 - 2025年8月15日
- 年末調整の裏側と税金のカラクリ - 2025年8月5日
- 税務調査の実態とは - 2023年9月15日

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