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電子帳簿保存法の改正

インターネットショッピングの普及などで、レシートや領収書などの証憑(しょうひょう)書類をpdfファイルなど、電子的に発行されることが一般的になってきました。

実は、1998年のネット黎明期明けから**「電子帳簿保存法」**という法律が制定されていました。この電子帳簿保存法の義務化などにより、最近騒がれはじめてきているので義務化が施行される前に理解を深めておきましょう。

Contents

目次

  1. 電子帳簿保存法とは
  2. 電子帳簿保存法の対象書類
  3. 義務化による経理業務への影響
  4. 電子帳簿保存法まとめ

電子帳簿保存法とは

電子帳簿等保存制度とは、税法上保存等が必要な「帳簿」や「領収書・請求書・決算書など(国税関係書類)」を、紙ではなく電子データで保存することに関する制度をいいます。

制度の理解 電子帳簿保存法と言われても、具体的に何をどうすればいいのかわかりにくいと思います。制度の概要を確認して、何をすればよいのか確認していきましょう。

制度の概要と電子データ化による影響

従来、帳簿・書類は原則として紙で保存する事が義務付けられており、PCで作成した帳簿・書類を紙に印刷したり、さらにその紙を7年間も保存するなど、管理にかかる業務負担が顕在化していました。

そこで、帳簿・書類に関して電子データで保存ができるように1998年から法改正が行われてきました。

それまで紙での保存が当たり前とされていた国税に関する帳簿書類を、マイクロフィルムやクラウドなどを使用して保存できるようになりました。

💡 電子化の発展 会計ソフトデータの保存から始まり、複数回の改正を経て、現在はスキャナデータやデジタルカメラで取得した画像ファイルなどの保存も認められています。

😰 帳簿と書類の違い 会計ソフトは幅広く普及してるため帳簿の電子化はすでに実現していますが、根拠となる書類は紙保存が基本だったのでその点が大きく変わるということですね。

電子帳簿保存法改正の背景

🔗 参考情報 国税庁 制度創設等の背景

インターネットが普及し始めた頃から制度自体はありましたが、ハードルが高すぎたため浸透しませんでした。制度の普及を目的として近年、要件が大幅に緩和化されてきました。

2024年1月からは猶予期間も終了し、義務化により本格的に開始されていきますが、上記の図のように時代に合わせて大きく制度改正が行われてきていることから、事業者の大きな負担となるような運用方法は現場での対応難しく、今後も緩和方向へ改正される可能性もあります。

😰 今後の対応 現段階ではどのように対応していけばいいか、次項に進みましょう!

電子帳簿保存法の対象書類

電子帳簿保存法は大きく分けて次の3つの制度に区分されています:

  1. 電子データによる帳簿書類の保存
  2. スキャナ保存
  3. 電子取引データ保存

用語の説明 帳簿:仕訳帳や総勘定元帳など 国税関係書類:決算関係書類(損益計算書、貸借対照表)や請求書、領収書など

取引先からの証憑の流れ

電子帳簿・電子書類とスキャナ保存は2023年時点では「容認規程」となっており、取り組みたい企業や個人事業主が任意で行います。

電子取引は2023年12年までの猶予期間が設けられているものの「義務規程」となっており、該当する場合は要件を満たしたうえで保存する必要があります。

⚠️ 重要な変更点 「2024年1月1日」から、「電子取引」に関する請求書類は印刷して保管することができなくなります。

①電子データによる帳簿書類の保存(任意)

文書保存の負担軽減を図る観点から、各税法で保存が義務付けられている帳簿書類は、システムの説明書等の備付け等の最低限の要件を満たせば、プリントアウトせずに、作成した電子データのまま保存することができます。

📝 対象となる帳簿

  • 自己がコンピュータを使用して作成する帳簿 (例)仕訳帳、総勘定元帳、経費帳、売上帳、仕入帳など

📚 対象となる書類

  • 自己がコンピュータを使用して作成して取引相手に交付する書類の写し (例)見積書、請求書、納品書、領収書などの「控え」

電子保存を行うための要件

帳簿保存を行う際の要件として、以下の項目を満たす必要があります:

帳簿の要件

要件概要優良帳簿その他の帳簿書類
記録事項の訂正・削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認できる電子計算機処理システムを使用すること
通常の業務処理期間を経過した後に入力を行った場合には、その事実を確認できる電子計算機処理システムを使用すること
電子化した帳簿の記録事項とその帳簿に関連する他の帳簿の記録事項との間において、相互にその関連性を確認できること
システム関係書類等(システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアル等)を備え付けること
保存場所に、電子計算機、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、記録事項を画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと
【検索要件①】取引年月日、取引金額、取引先により検索できること
【検索要件②】日付又は金額の範囲指定により検索できること
【検索要件③】2以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること
税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしておくこと

優良な電子帳簿の特典

国税の納税義務の適正な履行に資する一定の要件を満たした電子帳簿(優良な電子帳簿)の備付け及び保存をすることで、過少申告加算税の軽減措置や所得税の青色申告特別控除(65万円)の適用を受けることができます。

適用を受けるためにはあらかじめ届出書を提出する必要があります。

必要な手続きとは

電子データによる帳簿書類の保存の開始にあたっては、特別な手続きは必要ありません。

😰 実際の対応 電子データの保存は義務ではなく、対応が難しい場合は紙での保存が認められています。**帳簿の電子化は会計ソフトへの記帳で既に対応できているので問題はないでしょう。**国税関係書類の保存が電子化できる方は、電子化に挑戦して効率化を目指しましょう。

②スキャナ保存(任意)

文書保存の負担軽減を図る観点から、各税法で保存が義務づけられている書類は、一定の要件の下で、紙のままではなくスキャナで読み取った電子データの形式で保存することができます。

📚 対象となる書類

  • 取引相手から受け取った書類
  • 自己が作成して取引相手に交付する書類の写し (例)契約書、見積書、注文書、納品書、検収書、請求書、領収書など

スキャナとは

書面を電子データに変換する入力装置のうち次の要件を満たすもの:

  • 解像度:200dpi(A4サイズで約387万画素相当)以上による読み取りができること
  • 色調:カラー画像による読み取りができること

☝🏼 便利な方法 スマホやデジカメによる保存も認められていますので、現在は手軽に保存できますね。

必要な手続きとは

スキャナ保存の開始に当たって、特別な手続きは原則必要ありません。

😰 任意対応 スキャナ保存は義務ではないので、対応が難しい場合は紙での保存が認められています。

⚠️ 不正による重加算税の加重措置 適正な保存を担保するための措置として、スキャナ保存が行われた国税関係書類に係る電磁的記録に関して、隠蔽し、又は仮装された事実があった場合には、その事実に関し生じた申告漏れ等に課される重加算税が「10%」加重されます。

③電子取引データ保存(義務)

請求書・領収書・契約書・⾒積書などに関する電子データを送付・受領した場合には、その電子データを一定の要件を満たした形で保存することが必要です。

📌 対象者 申告所得税・法人税に関して、帳簿書類の保存義務がある全ての方は対応する必要があります。個人事業主、法人に関わらず全ての事業者が対象となります。

2023年(令和5年)12月31日までに⾏う電子取引については、保存すべき電子データをプリントアウトして保存し、税務調査等の際に提示・提出できるようにしていれば差し⽀えありません(事前申請等は不要)。

2024年(令和6年)1月1日からは保存要件に従った電子データの保存が必要となります。

電子帳簿保存法一問一答(問57)

📌 問57 電子取引の取引情報に係る電磁的記録について保存要件を満たして保存できないため、全て書面等に出力して保存していますが、これでは保存義務を果たしていることにはならないため青色申告の承認が取り消されてしまうのでしょうか。

回答 電子取引の取引情報に係る電磁的記録については、法第7条の規定により保存義務が課されていることから、その電磁的記録を保存する必要があります。そして、電子取引の取引情報に係る電磁的記録について要件を満たさず保存している場合や、その電磁的記録の保存に代えて書面出力を行っていた場合には、保存すべき電磁的記録の保存がなかったものとして、青色申告の承認の取消の対象となり得ますので注意してください。

🔗 参考資料 電子帳簿保存法一問一答

⚠️ 青色申告取り消しリスク 保存要件を満たしていない場合は青色申告の取り消し対象となり得ますので、注意が必要です。

😰 対象範囲 平成26年1月以降、白色申告の方も**「帳簿書類の保存義務がある全ての方」**となっています。スマカクを利用する事業者のユーザーはすべて対象となりますね。

電子取引データ保存の対応方法

受け取った場合だけでなく、送った場合についても保存が必要です。

例えば、電子メールの本文・添付ファイルで請求書に相当する情報をやりとりした場合や、WEB上でおこなった備品等の購入に関する領収書に相当する情報がサイト上でのみ表示される場合には、それぞれの電子データを保存する必要があります。(PDFやスクリーンショットによる保存も可)

💾 保存すべき電子データ

  • 紙でやりとりしていた場合に保存が必要な情報が含まれる電子データ (例)請求書、領収書、契約書、見積書など

💡 電子取引に該当する取引 下記のような取引は、すべて電子取引に該当します:

  • 電子メールで送信した請求書
  • クラウド上のサービスを使って発行した契約書
  • ペーパーレスFAXで受け取った見積書
  • WebサイトなどからダウンロードしたPDFの領収書
  • DVDなどの記録媒体に保存した状態で受け取った発注書

大改正の対処方法

改ざん防止のための措置をとる

「タイムスタンプ付与」や「履歴が残るシステムでの授受・保存」といった方法以外にも「改ざん防⽌のための事務処理規程を定めて守る」でも構いません。

「⽇付・⾦額・取引先」で検索できるようにする

専⽤システムを導⼊していなくても、①索引簿を作成する方法や、②規則的なファイル名を設定する方法でも対応が可能です。

①索引簿の作成例

表計算ソフト等で索引簿を作成しておくことで、表計算ソフト等の機能を使って検索する方法です。

索引簿の作成例

②規則的なファイル名を付す⽅法

データのファイル名に規則性をもって「日付・⾦額・取引先」を⼊⼒し、特定のフォルダに集約しておくことで、フォルダの検索機能が活⽤できるようにする方法です。

(例)2021年1月31日 ㈱霞商店からの110,000円の請求書なら「20210131_110000_㈱霞商店」

💡 検索機能の緩和 2年前の売上が5,000万円以下であって、税務調査の際にデータのダウンロードの求め(税務職員への提示等)に対応できる場合には、検索機能の確保は不要です。

ディスプレイ・プリンタ等を備え付ける

⚠️ 不正があった場合の重加算税の加重措置 電子取引の取引情報に係る電磁的記録に関して、隠蔽し、又は仮装された事実があった場合には、その事実に関し生じた申告漏れ等に課される重加算税が10%加重されます。

令和5年度税制改正による改正事項

次の要件をいずれも満たしている場合には、改ざん防⽌や検索機能など保存時に満たすべき要件に沿った対応は不要となり、電子取引データを単に保存しておくことができることとされました。

要件

  • 税務調査等の際に、電子取引データの「ダウンロードの求め」及びその電子取引データをプリントアウトした書面の提示・提出の求めにそれぞれ応じることができるようにしている場合
  • 保存時に満たすべき要件に従って電子取引データを保存することができなかったことについて、所轄税務署⻑が相当の理由があると認める場合(事前申請等は不要です。)

😰 相当の理由について 税務署等が認める**「相当の理由」**についてはまだ詳細が決まっていませんが、税務調査の際にデータを提出できるようにしておけば簡易的な保存で対応ができるのではないかと思われます。

義務化による経理業務への影響

電子データでの保存が完全に義務化されると、業務はどう変わるのでしょうか?

請求書や領収書を紙で発行・受領した場合と電子データで発行・受領した場合に分けて解説します。

電子データで発行、受領

電子データで発行した場合

電子で発行した請求書や領収書の控え(電子)は、電子データのまま保存する必要があります。紙に印刷し、元の電子データを破棄することはルール違反となりますので、ご注意ください。

電子データで受け取った場合

電子データで受け取った請求書や領収書は、電子データのまま保存する必要があります。紙に印刷し、元の電子データを破棄することはルール違反となりますので、ご注意ください。

紙で発行、受領

紙で発行した場合

紙で発行した請求書や領収書の控え(紙)は、紙のまま保存して問題ありません。

保存方法としては以下が考えられます:

  1. 紙で発行した請求書や領収書の控えをそのまま紙で保存
  2. スキャンし、データ化して保存
  3. PCなどで作成した電子データのまま保存(取引先へは紙で渡した)

2の方法を取る場合は、電子帳簿保存法の「スキャナ保存」のルールに従う必要があります。

3の方法を取る場合は、電子帳簿保存法の「国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存」のルールに従う必要があります。

紙で受け取った場合

紙の請求書や領収書を受け取った場合、紙のまま保存して問題ありません。

保存方法としては以下が考えられます:

  1. 紙で発行した請求書や領収書の控えをそのまま紙で保存
  2. スキャンし、データ化して保存

2の方法を取る場合は、電子帳簿保存法の「スキャナ保存」のルールに従う必要があります。

電子帳簿保存法まとめ

以上のように、電子帳簿保存法は、企業の業務を効率化し、コスト削減につながるだけでなく、情報の可視化や管理の容易さなどのメリットをもたらす重要な法律です。情報のデジタル化が進む現代において、電子帳簿保存法は情報管理の未来を担う法律となっています。

ただし、情報のセキュリティ対策には十分な注意が必要であり、企業は情報のデジタル化にあたって、セキュリティ面についても十分な対策を講じる必要があります。

スマカク利用時の注意

ユーザーの皆様には定期的にスマカクへの資料提出を行っていただいていますが、それだけでは電子帳簿保存法を全てカバーしていることにはなりません。

💬 よくあるお問い合わせ **「スマカクは電子帳簿保存法に対応していますか?」**といった質問をよくいただきますが、このページをご覧になっていただいた方は、この質問はスマカクのサービス内容と電子帳簿保存法の制度から少しズレていることがお分かりいただけるでしょう。

😰 スマカクでの対応 スマカクでは、「帳簿作成にあたって、ユーザー様の資料提出の負担が最小限となる」ように設計しています。資料提出の方法やタイミングにおいては、最終的な運営負担とユーザー負担のバランスを加味して、毎年の調整を行う必要があることから、多少のルール変更が行われるということをご理解いただければと思います。

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