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減価償却費の考え方

減価償却は、事業で使用する資産の購入費用を何年かに分けて経費計上する仕組みです。これにより、一度に大きな支出を計上せず、長期間にわたって費用を分散できます。このページでは、減価償却の基本から計算方法、節税テクニックまで、初心者でもわかりやすく解説します。

Contents

目次

  1. 減価償却・固定資産の概要
  2. 減価償却の計算方法
  3. 特例・節税テクニック
  4. 減価償却を間違った場合のリスク
  5. 減価償却を正しく処理するために必要なこと
  6. 減価償却費の考え方-FAQ-

減価償却・固定資産の概要

減価償却とは事業のために使うパソコンなどの備品を購入した場合、その費用を購入した年だけではなく、何年かに分けて経費として計上するという考え方です。

減価償却の基準

減価償却の基準となる資産は、購入金額が10万円以上のものです。

資産の取得金額に含むもの

  • 資産の購入価格
  • 資産を事業に供するために直接要した費用(例)PC等設備の調整・調整費用、車両装備の追加費用など
  • 資産の購入のために要した費用(例)引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税など

参考資料 🔗 国税庁「減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用」

たとえば、10万円を超える備品を購入すると、その金額を一度に経費計上するのではなく、何年かに分けて経費にします。どれだけ長持ちする備品であっても、時間の経過により徐々に価値が劣化していきます。購入したときが、商品の一番良い状態で、以降は時間とともに価値が減少していきます。

参考資料 🔗 自営百科「個人事業主の「減価償却費」とは?【わかりやすい解説】」

上記の図のように、減価償却資産の購入金額を年々減らしていくイメージです。何年で費用に計上するかについては、国税庁が定める法定耐用年数から判断します。

参考資料 🔗 国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」

減価償却の概念 ⚠️ このように、購入した時からの価値の減少(つまり費用)と、購入後の資産から生み出される収益との対応関係を表したものを減価償却といいます。

固定資産の定義

固定資産とは、建物や機械装置のような長い期間をかけて費用化していく資産です。費用化とは、この場合、減価償却で毎年経費計上していくという意味です。

区分特徴
有形固定資産・事業用パソコン、サーバー・机や椅子などのオフィス家具・営業や配送に使う車両・店舗で使用するエアコン・長期間使用できるが劣化で価値が下がる・高額なため減価償却で数年にわたり経費処理する
無形固定資産・業務用ソフトウェア・特許権や商標権などの知的財産権・形はないが事業運営に不可欠・使用可能期間に応じて減価償却する
投資その他の資産・株式(配当や売却益を目的)・投資用不動産(将来的な価値上昇を狙う)・事業には直接使用しないが長期的利益を見込んで保有・多くは減価償却の対象外で評価方法も異なる

固定資産の特徴 📌 固定資産は、比較的高価なものが多く、減価償却の対象となる場合が多いです。

有形固定資産

有形固定資産は、物理的に存在する資産で、長期間使用されるものを指します。これらは実際に目で見て触れることができ、使用することで価値が減少していきます。一般的な個人事業主・フリーランスの場合、以下のような有形固定資産で10万円を超えるものが減価償却の対象となります。(減価償却の基準となる10万円には取得費用も含まれます。)上記のような備品であっても、10万円未満のものは減価償却の対象外となり、単年で経費にできます。例えば、95,000円のパソコンは購入して使い始めた年に全額が経費となります。

無形固定資産

無形固定資産は、物理的には存在しないが、事業活動に価値をもたらす資産です。これらは目に見える形で資産を有しているわけではなく、権利や知的財産として企業に利益をもたらします。

投資その他の資産

投資その他の資産は、投資目的で保有する資産です。

非減価償却資産 📌 土地や骨董品などの時の経過により価値が減少しない資産は、減価償却資産ではありません。

これらは事業に直接関係する資産ではないものの、将来の利益や資産価値の上昇を見越して保有されます。

固定資産管理の重要性 ⚠️ 固定資産はビジネスに欠かせない資産で、うまく管理することが大事です。減価償却をしっかり理解しておくと、税金の節約にも繋がるので、きちんと活用しましょう。

減価償却の計算方法

今回のページでは、主に有形固定資産に焦点を当てて、減価償却の解説をしていきます。減価償却方法には、主に**「定額法」「定率法」**の2つがあります。

個人事業主の法定償却方法 📌 個人事業主の方は、法定償却方法が定額法なので、定額法を中心に解説していきます。

定額法の場合

定額法とは、**「毎年定額を減価償却費として、経費に算入」**する方法です。

例)定額法の計算方法 📝 減価償却費=減価償却資産の取得原価×償却率 / 減価償却資産の取得原価:備品等を購入した場合にかかった費用

償却率は、各備品に対して定められており、法定耐用年数に基づいて算出されます。例えば、自転車の場合、法定耐用年数は2年で、償却率は「0.5(=2分の1)」となります。仮に、自転車の取得原価が20万円の場合、2年間で10万円ずつ経費計上することになります。

■法定耐用年数と償却率の例

 法定耐用年数償却率
パソコン4年0.250
カメラ5年0.2
自転車2年0.5
バイク3年0.334
デスク、チェア(金属製を除く)8年0.125

定額法の特徴 ✅ 上記のように、毎年定額を経費に計上する方法を**「定額法」**といいます。

参考資料 🔗 国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」

定率法の場合

定率法とは、**「毎年、未償却残高(その時点で残っている資産の金額)に償却率を掛けて、減価償却費を計算」**する方法です。最初の年は経費にできる金額が大きく、年を追うごとに少しずつ金額が減っていくのが特徴です。基本的に法人が採用している償却方法ですが、個人事業主も事前に税務署へ『**所得税の減価償却資産の償却方法の届出書』**を提出すれば、定率法を選択することが可能です。

例)定率法の償却方法 📝 減価償却費=減価償却資産の未償却残高×償却率

償却方法変更時の注意点

定率法を一度選択すると、原則として定額法への変更はできません。やむを得ず変更する場合は、税務署へ**『償却方法の変更承認申請書』**を、変更する年の3月15日までに提出する必要があります。

参考資料 🔗 国税庁「減価償却資産の償却方法の変更の承認の申請」

頻繁な変更は原則認められず、承認されるかどうかは個別判断となるため、慎重に選択しましょう。なお、定率法は年々償却額が減少するため、数値の予測や経費の計画がやや複雑になる場合があります。

償却方法の比較 ⚠️ 定額法は毎年同額を償却費として計上し、定率法は初年度に多く償却費を計上します。定率法は初期の経費が大きい反面、後年は減少するため、事業計画への影響も考慮が必要です。

特例・節税テクニック

基本的に10万円以上の固定資産は減価償却費として、複数年で費用計上しなければなりません。しかし、10万円以上の場合でも、通常の減価償却とは異なる方法で経費計上できるケースがあります。ここでは減価償却の特例を2つ紹介します。

節税の活用 💡 少し難しい話かもしれませんが、このような制度をうまく活用することで、効果的に節税できるため知っておいて損はありません。

一括償却資産の特例

取得価額が20万円未満の減価償却資産は、一括償却資産として特例で償却することができます。一括償却資産の特例とは、20万円未満の減価償却資産は3年で均等償却できるというものです。

例)15万円のパソコン(耐用年数4年)を購入した時の処理(定額法) 📝 特例 1年あたり50,000円を経費に計上できる(150,000÷3) / 原則 1年あたり37,500円を経費に計上できる(150,000÷4)

耐用年数が原則の4年から3年に短くなることで、1年あたりの経費計上額が増えました。経費が増えるということは、その分所得も減るということなので、節税につながります。

個人事業主の所得の求め方

収入ー必要経費=所得

誤解の注意 ⚠️ 一括償却資産は、全額を一度に経費に計上できると思われがちですが、実際は3年間で均等に償却していく方法です。

参考資料 🔗 国税庁「確定申告書等作成コーナーよくある質問【一括償却資産】とは」

期の途中で購入した場合でも、1年分の償却が可能

通常の減価償却は、資産を購入した月に応じて減価償却費が計上されます。例えば個人事業主の場合、12月(期末)に資産を購入した場合、1年間分の減価償却費は計上できず、購入月から年末までの1カ月分(12分の1)しか経費として認められません。しかし、一括償却資産の場合、たとえ12月に購入しても、その年の3分の1、つまり1年間分を丸々経費として計上できます。これにより、期末に購入した場合でも、経費を多く計上できるため、節税効果が高くなります。

期末購入の節税効果 ⚠️ 12月31日に購入した場合でも1年分を償却できるのは、一括償却資産の大きな魅力です。期末に減価償却資産を購入する場合は、一括償却資産の範囲内(20万円以内)で購入すると節税効果が大きくなります。

少額減価償却資産の特例

少額減価償却資産の特例とは、取得価額が30万円未満の減価償却資産は、全額をその年に経費計上できるというものです。ただし、青色申告を選択している場合のみ、特例が適用されるため注意が必要です。

例)25万円のパソコン(耐用年数4年)を購入したときの処理(定額法) 📝 特例:全額250,000円をその年に経費に計上できる(250,000円) / 原則:1年あたり62,500円を経費に計上できる(250,000÷4)

こちらも経費に計上できる金額が非常に大きいため、節税効果が期待できます。

一括償却資産と少額減価償却資産の比較

一括償却資産と少額減価償却資産の特徴を比較してみましょう。

 一括償却資産少額減価償却資産
対象者特になし青色申告法人である中小企業者
適用対象資産取得価額が20万円未満取得価額が30万円未満
取得価額の合計額特になし年間合計300万円まで
償却年数3年で均等償却全額をその年に償却
償却資産税かからない納める必要がある

両者にそれぞれ特徴があることがわかります。節税面の観点からすると、全額をその年に経費に計上できる少額減価償却資産の枠(年間300万円まで)を埋めてから、一括償却資産を適用させるのがポイントになります。

償却資産税の概要 ✅ 償却資産の保有にかかる税金 / 固定資産税の一種で、毎年1月1日に所有している償却資産に1.4%の税金がかかる

ただし、少額減価償却資産の場合は償却資産税がかかるため、一概にどちらが有利とは言えません。

有利判定の困難性 📌 スマカクではどちらが有利かついてのアドバイスはできかねますのでご了承ください。

減価償却の節税テクニック

減価償却について正しく理解できたところで、ここでは減価償却の節税テクニックを紹介していきます。効果的な節税テクニックとして**「定率法で4年落ちの中古車を1月に購入する」**方法があります。これにより初年度から大きな経費計上が可能となり、節税効果を高めることができます。以下でポイントを解説していきます。

定率法を選択する

まずは減価償却の方法は**「定率法」**を選択します。個人事業主の法定償却方法は「定額法」ですが、事前に所得税の減価償却資産の償却方法の届出書』を提出することで、定率法で償却することができます。

参考資料 🔗 開業オンライン「【記載例】所得税の減価償却資産の償却方法の届出の記入の仕方とポイント解説」

参考資料 🔗 ビジトラ「減価償却とは?減価償却費の計算方法や対象となる資産を分かりやすく解説」

定額法と定率法の大きな違いは最初に大きく費用計上できるかどうかにあります。上記の図の通り、定額法は一定の償却額、定率法は償却額が最初は大きく、だんだん小さくなっていきます。つまり、減価償却資産を購入した初年度や2年目は「定率法」の方が大きく経費に計上できます。

定率法の節税効果 📢 減価償却は現金支出を伴わない費用で「非資金費用」とも呼ばれています、最初に大きく費用計上して、所得を減らせる定率法の方が節税効果が大きいです。

中古車を選択する

次の節税のポイントとして新車ではなく中古車を選択しましょう。その理由は中古車の減価償却の計算式にあります。

例)中古資産の耐用年数の計算式 📝 (耐用年数ー経過年数)+経過年数×20%

新車で購入した場合と、1~4年が経過した中古車の比較は以下の通りです。

■取得価額6,000,000円の車を定額法で償却した場合

 新車の場合1年落ちの場合2年落ちの場合3年落ちの場合4年落ちの場合
耐用年数6年5年4年3年2年
償却率0.167(6分の1)0.2(5分の1)0.25(4分の1)0.33(3分の1)0.5(2分の1)
減価償却額1,020,000円1,200,000円1,500,000円1,980,000円3,000,000円

上記の**『中古資産の耐用年数の計算式』**に当てはめて、3年落ちの中古車の減価償却費を計算してみましょう。

3年落ちの中古車の減価償却費の計算例 📝 中古資産の耐用年数式:(耐用年数ー経過年数)+経過年数×20%⇒(6-3)+2×20%=3.4 / 耐用年数は3年(端数は切り捨て)

表を見てわかるとおり、耐用年数が短ければ短いほど、減価償却額が増えていくことがわかります。減価償却額が大きい、つまり経費に計上できる額が大きいということは節税につながるため、年数が経てば経つほど、節税ができます。

4年落ちを購入する

上記で年数が経てば経つほど、償却額が増えて節税につながることがわかりました。そのような中で、どれくらい経過していると最も節税できるのかについてですが、最も節税効果が大きいのは経過年数4年です。

4年落ち中古車の節税ポイント ✅ 定率法では、減価償却の初年度に多くの経費を計上できる特徴がある。 / 車のような資産は、最初に価値が大きく減少し、その後は徐々に価値が下がる。 / 4年落ちの車の場合、通常の耐用年数は6年とされているが、経過年数を考慮して耐用年数が2年に短縮される。 / 短縮された耐用年数に基づき、償却率が100%に設定されるため、購入し初年度に全額(600万円)を経費として計上することが可能。

上記の図でみると、4年落ちの場合、償却額が3,000,000円となっています。しかし実は上記の図の償却方法は**「定額法」の償却率です。節税効果が高い「定率法」**で償却した場合の図は以下になります。

■取得価額6,000,000円の車を定率法で償却した場合

 新車の場合1年落ちの場合2年落ちの場合3年落ちの場合4年落ちの場合
耐用年数6年5年4年3年2年
償却率0.3340.40.50.661
減価償却額2,004,000円2,400,000円3,000,000円3,960,000円6,000,000円

4年落ちの場合、償却率100%で600万円を全額その年の費用に計上することができます。

定額法と定率法の比較

【償却率】に着目してみると、定率法は定額法に比べて償却率が2倍になっていることがわかります。

減価償却の節税テクニックの注意点 📌 5年落ち、6年落ち、それ以上経過している場合も耐用年数が2年となり(償却率0.5)、定率法の場合定額法の2倍償却できるため、全額をその年に経費計上できます。 / 例えば、7月などの期の途中に購入した場合、7月以降の分しか償却されません。

■定額法で償却した場合(減価償却初年度)

 新車の場合1年落ちの場合2年落ちの場合3年落ちの場合4年落ちの場合
耐用年数6年5年4年3年2年
償却率0.167(6分の1)0.2(5分の1)0.25(4分の1)0.33(3分の1)0.5(2分の1)
減価償却額1,020,000円1,200,000円1,500,000円1,980,000円3,000,000円

■定率法で償却した場合(減価償却初年度)

 新車の場合1年落ちの場合2年落ちの場合3年落ちの場合4年落ちの場合
耐用年数6年5年4年3年2年
償却率0.3340.40.50.661
減価償却額2,004,000円2,400,000円3,000,000円3,960,000円6,000,000円

定率法は「200%定率法」とも呼ばれており、このように定額法に比べて200%、つまり2倍の償却をすることが可能になります。

節税テクニックのポイント ⚠️ 通常10万円以上の固定資産は減価償却を複数年でしないといけないですが、定率法かつ4年落ちの中古車の場合は、全額をその年に経費計上できます。

減価償却を間違った場合のリスク

減価償却は定額法や定率法、法定耐用年数に基づいて計算されます。さらに取得原価にも注意しないといけません。取得原価とは減価償却のもとになる数字で、先ほどの車の例だと、600万円が取得原価です。会計上、固定資産の取得原価は購入代金だけではなく、付随費用やそれを運ぶ送料、その他手数料等も取得原価に含まれます。つまり正しい取得原価を認識していないと、毎年の減価償却額に差異が出てしまう可能性があります。以下では、そのような場合にどんなリスクがあるのかを紹介していきます。

追徴課税の可能性

確定申告の際に、不正確な数字を税務署に提出してしまうと、税務調査の対象となり追加で税金を納めなければならない可能性があります。特に取得原価のミスや、青色申告者でないのに少額減価償却資産の特例を使って全額をその年に経費計上してしまうなど、うっかりしたミスには注意しないといけません。

経営状態を正確に把握できない

12月31日時点の財政状態を表す貸借対照表と、1月1日から12月31日までの経営成績を表す損益計算書。これらは正しい数字だからこそ信頼でき、翌年の目標に役立てることができます。しかし、減価償却費の数字を間違えることで、所得が変わり納税額も変わってしまうと正しい数字を把握することができません。大企業と違い、資金が潤沢ではない個人事業主は特に少しの間違いにも敏感になるべきです。

減価償却ミスの影響 ⚠️ 減価償却を誤ると税務面だけでなく経営判断にも悪影響を及ぼすため、正確な処理が不可欠です。

減価償却を正しく処理するために必要なこと

減価償却の概要や、特例と節税テクニック、さらに間違えた場合のリスクを解説してきました。減価償却を正しく処理するために必要なことは、まずその基本的な概要をしっかり理解することです。特に、10万円以上の資産は複数年にわたって経費に計上しなければならないことは、減価償却の基礎となります。このルールをしっかり押さえておくことで、税務や会計のミスを防ぐことができます。

知識の深化 ⚠️ 細かい論点である特例やリスクについて知識を深めていきましょう。資産の購入にあたっては、大きな金額が動きます。正しい減価償却の知識をもつことが、節税や会計処理のミスをなくすことにつながります。

 

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