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事業所得と雑所得

あなたは「すべての事業収入は事業所得として扱われる」と思っていませんか。実は、個人事業主でも、得た収入が事業所得として認められないことがあります。特に、思いがけないタイミングで『雑所得』として扱われてしまうケースもあります。この違いを理解し、最適な申告を行うために押さえておきたいポイントを解説します。

Contents

目次

  1. 事業所得と雑所得の概要
  2. 副業収入の取扱い
  3. 判例に学ぶ事業所得と雑所得
  4. 所得区分の根拠を明確にする

事業所得と雑所得の概要

個人で得る収入には「事業所得」と「雑所得」がありますが、明確な線引きが難しく総合的な判断が必要となります。本ページでは、税務上の違いや判断基準をわかりやすく整理していきます。ネットショップを開設し、繰り返し仕入・販売を行っているようなケースや、定期的な依頼でサービス提供を行っている活動は、事業所得として認められやすくなります。一方で、趣味の延長で不定期に商品を販売するケースや、年に数回の講演収入などは、雑所得に分類される傾向があります。

申告時の注意点 💡 ご自身が現状どちらに該当するかよく考えて確定申告を行いましょう。副収入的な性格が強く、規模や継続性が乏しい場合には雑所得として申告するケースが一般的です。

事業所得と雑所得の違い

事業所得と雑所得は、どちらも個人の収入ですが、その区別は「反復性」「継続性」「営利性」に基づいて判断されます。事業所得は営利目的で継続的に行われる活動に基づく収入であり、これに対して雑所得は規模が小さく、継続的な活動がない収入です。

判断基準となる3つの要素 📌 **反復性:**定期的に事業活動を行っていること / **継続性:**継続的に事業として運営されていること / **営利性:**収益を得ることが主な目的であること

一方、雑所得は、副収入や偶発的な収入に該当するものであり、事業活動として認められるには不十分な規模である場合に分類されます。例えば、個人で少しだけ趣味で販売している商品や、年に数回だけ受ける講演料などは、雑所得として扱われる可能性があります。

雑所得と雑収入の違い

「雑所得」と「雑収入」を混同するケースが散見されます。 雑所得と雑収入は異なる概念ですので、混同しないように十分に注意しましょう。雑所得は所得区分として税務上重要ですが、雑収入は会計上の収入分類に過ぎません。

雑所得

雑所得は、事業所得や給与所得などの既存の所得区分に当てはまらない収入から得られた利益を指します。たとえば、副業や偶発的な収入(例: フリマアプリでの販売、年に数回受ける講演料など)がこれに該当します。

参考資料 🔗 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1500.htm

雑収入

雑収入は会計の用語であり、帳簿上で「他の科目に分類できない収入」を指します。つまり、収入金額が多くなく、規模が小さい場合に使われる勘定科目で、所得の区分とは異なります。

重要な区別 ☝ 雑収入は収入金額を分類するための勘定科目ですので、雑所得とは根本的に違うものとなります。

国税庁による事業所得の定義

事業所得とは、農業や製造業、サービス業などのように「営利目的で継続的・反復的に行われる事業活動」に基づく所得を指します。事業所得として認められるためには、規模や継続性が重要なポイントです。たとえば、月に数回しか活動していない小規模なネットショップでは、事業所得として認められない場合があります。

総合的な判断 ⚠️ 事業所得と雑所得の区別は、活動の規模・継続性・営利性を総合的に判断して行われ、税務上の扱いが大きく異なります。

副業収入の取扱い

国税庁は、副業収入が300万円以下であっても、帳簿をきちんと記録・保存していれば、形式的な基準にとらわれず事業所得として認められる可能性が高いとしています。小規模な副業であっても、日々の取引を正確に記録し、帳簿を整備・保存することが重要です。こうした継続的な管理が、事業所得としての認定につながります。

事業所得として認められるかどうか

事業所得かどうかの判定では、その活動が社会通念上「事業」として認められるかが重要な基準となります。過去の判例でも、この判断に関する明確な基準が示されています。

引用:最判昭和56年4月24日(最高裁判所)

「事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する業務から生じる所得」とされています。事業所得として認められるには、営利性や反復性、継続性が客観的に認められる必要があります。

参考資料 🔗 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52604

この最高裁判例に加え、下級審の事例でも事業所得の判断基準が示されています。

引用:東京地判昭和48年7月18日(東京地方裁判所)

「事業の判定は社会通念によって決める」とされ、企画遂行性や精神的・肉体的労力が重要な要素とされています。

参考資料 🔗 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50473

これらの判例からも分かるとおり、営利性・反復性・継続性に加え、事業の計画性や労力の投入状況が総合的に評価されます。

証拠の重要性 💡 単に収入があるだけでなく、事業としての実態を客観的に示せる証拠が重要です。

帳簿書類の記録方法

帳簿を正確に記録・保存することは、営利性や継続性を証明し、事業所得の認定を受けるための重要な条件です。逆に、不十分な記録や未保存は、事業所得と認められない大きなリスクとなります。

記録の重要性 💡 帳簿の整備と記録の保存は、事業所得の認定において非常に重要な要素です。

帳簿に記録しても認められないケース

たとえ帳簿に記録しても、以下のようなケースでは事業所得として認められない可能性があります。

判定基準内容
収入金額が少額である場合年間収入が300万円以下かつ、主たる収入に対して10%未満などの場合
営利性が認められない場合継続的に赤字が続き、赤字解消に向けた取り組みが行われていない場合

これらの要素が満たされていない場合、事業所得として認められず雑所得とされる可能性があります。判定は、収益を得るための活動実態を客観的な証拠に基づき総合的に判断されます。

判定の複合性 ⚠️ 副業収入は規模や実態によって事業所得と雑所得に分かれ、帳簿の整備や活動内容の証明が認定のカギとなります。

判例に学ぶ事業所得と雑所得

税務関連の裁判では、事業所得と雑所得の判定が争われることが多く、過去の判例が重要な参考となります。具体的な判例に基づいて、事業所得か雑所得かの判断基準を明確にすることができます。

雑所得か事業所得かの判例

税務調査や審判では、事業所得と雑所得の区別が争点になることが少なくありません。ここでは、大学教授による著述・講演活動に関する判例を紹介します。

引用:平成26年9月1日 国税不服審判所 議決

大学教授が講義のほか著述や講演を行っていた事例で、事業所得か雑所得かが争われました。教授は自ら設備を整え活動を行ったものの、その活動規模や企画性が不十分とされ、社会通念上の事業規模に達していないとして雑所得と判断されました。

参考資料 🔗 出典:https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56332

この判例は、事業所得の要件(規模・継続性・営利性)を満たしていないと判断された例であり、判定にあたっては活動規模や事業実態、経費の状況、本業とのバランスなどが総合的に考慮されます。

給与所得か事業所得かの判例

給与所得と事業所得の区別が問題になることもあります。ここでは、弁護士の顧問料をめぐる最高裁判所の判決を取り上げます。

引用:昭和56年4月24日 最高裁判所判決(所得税更正決定処分取消)

弁護士業務が給与所得か事業所得かで争われた事例です。弁護士Aは顧問料について給与所得として申告しましたが、最高裁は、顧問料の性質や契約形態、独立性などを踏まえ事業所得に当たると判断しました。

事業所得とは、自己の計算と危険で独立して営まれ、営利性および有償性を有し、かつ反復継続して遂行する業務から得られる所得です。

給与所得とは、雇傭契約またはこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として受ける給付をいいます。給与所得では、給与支給者との関係において空間的・時間的拘束を受け、継続的または断続的に労務または役務を提供し、その対価として支給されるかどうかが重視されます。

参考資料 🔗 出典:https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56332

この判例は、単に顧問料の有無ではなく、その契約形態や業務の独立性、報酬の性質まで含めて総合的に判断された点が特徴です。そのため、自分の収入が給与なのか事業所得なのかを判断する際の重要な参考となります。

給与所得との違い ✅ ・給付の対価が固定されているのか、それとも、利益および損失の引受けがあるのか / ・業務に反復継続性があるか / ・独立性があるか、それとも、指揮命令系統へ従属しているか

外交員契約や業務委託契約など、発注元との契約形態によってはこの判例が参考になるケースがあります。契約内容と実態の両面を見直しておくことが重要です。

判例の活用 ⚠️ 過去の判例は、事業所得と雑所得・給与所得の判断基準を理解し、実務での判断材料とするうえで有効です。

所得区分の根拠を明確にする

給与所得者の副業は、税務上は雑所得として扱われやすい傾向があります。そのため、事業としての実態や証拠を整えておくことが重要です。判断の際には、収入規模・人的労力・物的投資・継続性といった要素を総合的に満たす必要があります。

事業として認められるための主な条件 ✅ ・規模に見合った収入がある / ・人的・物的労力を継続的に投下している / ・本業収入と比べても遜色ない利益が出ている

副業から始めた場合、初年度は規模が小さいことが多いため、その後数年間で本業並みの利益を安定的に出せるかがポイントです。もし事業が成長し、当初の計画どおり独立に至れば、事業所得として説明しやすくなります。

開業しているのに開業届が未提出

副業から始めた活動が大きく成長し、本格的に事業化するケースは珍しくありません。しかし、意外と多いのが開業届を出していないまま事業を続けているケースです。開業届を提出していないと、開業日以前の取引が雑所得扱いになる場合があり、青色申告の特典も受けられません。また、給付金や補助金の申請ができないなど、実務上の不利益も生じます。

開業届を提出していない場合の主な不利益 ✅ ・青色申告の特典が使えない可能性 / ・開業前取引が雑所得扱いになる場合がある / ・給付金・補助金の申請ができない

開業届に提出期限はありますが、遅れて提出すると不利益が大きいため、開業が決まったら速やかに提出しましょう。売上規模だけでなく、事業実態や証拠の有無が事業所得の判定に影響します。

形式面の重要性 ⚠️ 事業所得として認められるには、規模・労力・利益に加え、開業届や帳簿整備など形式面も整えることが重要です。

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