合法的に税負担を減らす節税術
事業を始めたばかりの個人事業主の方に、税金を合法的に減らすための実践的な節税テクニックを紹介します。
税金の抜け道や裏ワザはありません。会計初心者でも合法的に節税を行えるよう、準備から具体的な方法、注意点まで分かりやすく解説します。
Contents
目次
節税の基本と考え方

節税は難しいと感じがちですが、基本を押さえれば初心者でも十分可能です。ここでは脱税との違いや、事業者として意識すべき「正しい節税」の基本を整理します。
脱税と節税の違い
脱税と節税は似て非なるものです。脱税は納税義務を免れようとする違法行為であり、発覚すれば追徴課税や罰則が科されます。
脱税の具体例
| 脱税の種類 | 内容の説明 | 具体例 |
|---|---|---|
| 売上の過少申告(売上除外) | 実際にあった売上を帳簿に記載せず、税務申告から除外する行為 | 現金売上を帳簿に記載せず、口座にも入れずにそのままポケットに入れる |
| 経費の架空計上 | 実際には存在しない取引をあたかもあったように偽って経費として計上する | 架空の仕入や外注費、交通費などを捏造して帳簿に記載する |
| プライベートな支出を経費にする | 私的な支出を事業経費と偽って処理する行為 | 家族旅行や私的な飲食代を取引先との打ち合わせとして経費にする |
| 領収書の改ざんや使い回し | 領収書を偽造・加工し、経費を水増しする行為 | 同じ領収書を複数年で使用、または金額を書き換えて利用 |
| 期末在庫の調整 | 実際より在庫を少なく見積もって仕入原価を多く計上し、利益を少なく見せる | 実際の在庫より少なく申告して仕入額を水増しする |
一方で節税は、税法で認められた手段を使って合法的に税金の負担を軽くする行為です。例えば、使える控除を活用したり、経費を正しく計上したりすることがそれにあたります。
💡 節税のメリット
節税は企業活動の一部として推奨されることもあり、経営を安定させる上で重要なスキルのひとつです。
青色申告による特別控除や小規模企業共済など、国が制度として用意している合法的な節税策を正しく理解して活用することで、事業を安定させることができます。
「正しく減らす」節税のメリット
節税によって納税額が下がると、手元に残る資金が増えます。この余裕資金は、仕入や広告費、備品購入など、次の事業展開に活用でき、さらに、キャッシュフローの改善にもつながり、経営判断の幅も広がるため、正しい節税は単なる支出削減ではなく、経営力を高めるための投資と考えるべきです。
初心者が見落としやすいポイント
開業当初は経理や税務に不慣れなことが多く、控除の漏れや経費の計上ミスがよく見られます。特に、領収書を取っていない支出や、事業と私用が混在する支出などは見落としがちです。
💡 早めの対策
正しい知識を早めに身につけ、将来の税務リスクも減らしましょう。
最初にやるべき節税準備
事業を始めたばかりの人がまず取り組むべきなのが、開業届の提出と青色申告の選択です。開業届は事業の開始を税務署に知らせるための基本書類で、青色申告を希望する場合は、併せて青色申告承認申請書も提出する必要があります。
青色申告の主な特典
青色申告を選ぶと、最大65万円の特別控除を受けられるだけでなく、赤字の繰越や家族への給与支払いなど、さまざまな税制優遇が使えるようになります。
| 制度名 | 内容・概要 |
|---|---|
| 青色申告特別控除 | 所得金額から55万円(一定の要件を満たす場合は65万円)または10万円を控除可能。 |
| 青色事業専従者給与 | 生計を一にする配偶者や親族(15歳未満を除く)に支払う給与のうち、妥当な金額を必要経費にできる。 |
| 貸倒引当金 | 売掛金や貸付金の貸倒れリスクに備えた制度。個別評価と一括評価の合算額を経費として計上可能。 |
| 純損失の繰越しと繰戻し | 損失が発生した年の前年度の所得と相殺することで、所得税の還付を受けられる。 |
| 少額減価償却資産の特例 | 取得価額10万円以上30万円未満の資産について、最大300万円まで一括で経費に算入可能。 |
ただし、その年の上限額は合計300万円までとなります。
⚠️ 重要な期限
青色申告の提出期限は開業から原則2か月以内であり、これを逃すと1年間は白色申告になってしまうため注意が必要です。
帳簿作成は必須
青色申告には帳簿の記帳と保存義務があります。また、複式簿記が求められるため、会計に不慣れな人にとってはハードルが高く感じるかもしれません。
✏️ 解決策
マネーフォワードなどのクラウド型会計ソフトを利用すれば簡単に対応できます。銀行やクレジットカードと連携すれば、自動で仕訳を取り込んでくれる機能もあり、効率よく記帳業務を進めることができます。
合法的に使える節税テクニック集

正しい節税は、基礎知識と準備で差がつきます。事業初年度からしっかり対策を取りましょう。経費の考え方から控除制度まで、会計初心者でもすぐに活用できるテクニックを解説します。
経費で落とせるものを知る
経費に計上できる支出は、事業に直接関係するものに限定されますが、必要経費を漏れなくしっかり計上することは、節税対策につながります。事業者の多くは、計上可能な経費を見落としがちで、本来であれば経費として認められるはずの支出を私的な費用として処理してしまうケースが少なくありません。
✏️ 経費計上の効果
適切な経費計上は所得を減らし、結果として所得税や住民税の負担軽減につながるため、事業に関連する支出は漏れなく確認することが重要です。
せどり事業者に多く見られる経費の例
一般的な税制に基づき、せどり事業者によくある経費を勘定科目ごとにご紹介します。
| 勘定科目 | 経費の具体例 |
|---|---|
| 仕入高 | 商品そのものや仕入に係る送料・手数料 |
| 消耗品費 | 梱包材やラベル用紙など |
| 荷造運賃 | 売れた商品を発送するための配送料 |
| 支払手数料 | 決済・送金手数料、フリマやECサイトの手数料、せどりツールなどの利用料、コンサルティング費用(20万円以下) |
| 旅費交通費 | 仕入のための交通費、事業に関連する出張時の宿泊費 |
| 通信費 | スマホの通信料、インターネット回線代 |
| 水道光熱費 | 自宅兼事務所の電気代(按分)、倉庫の光熱費 |
| 会議費 | 打ち合わせのカフェ代、商談のための飲食費 |
| 広告宣伝費 | チラシや名刺の印刷代、SNS・Google広告などのネット広告費 |
| 地代家賃 | 自宅兼事務所の家賃(按分)、倉庫、コワーキングスペース利用料 |
| 修繕費 | 備品の修理代(プリンター・PCなど) |
| 租税公課 | 事業に関係する税金(個人事業税、固定資産税など)<br>※所得税・住民税・国民健康保険料は経費になりません |
| 外注工賃 | 発送代行、撮影依頼、システム構築代行など |
| 工具器具備品 | プリンターや棚など10万円以上の備品 |
自宅の家賃やスマホ代も経費になるか
自宅の一部を事業スペースとして使っている場合、その面積比率を根拠に家賃の一部を経費として計上できます。スマホも同様に、通話や通信の使用割合に応じて事業利用分だけを按分して経費とします。
事業と私用の違いを理解する
経費として認められるには「事業のための支出」である必要があります。せどり事業では、日常の支出と事業の支出が混在しやすくなります。仕入や配送などで多くの経費が発生するため、取引の記録(納品書・領収書)や仕入目的がはっきり分かるようにしておくことが重要です。
✅ 証拠書類の重要性
税務調査では按分根拠含め仕入や経費の根拠を問われることがあります。使用割合の記録や証拠書類はしっかり残しておきましょう。
控除制度をフル活用しよう
節税においては、控除制度の活用が非常に効果的です。所得から直接差し引ける制度は多く存在するため、事前に知っておくだけで税金を大きく減らせる可能性があります。
個人事業主が使える主な控除制度
| 控除制度 | 控除額・適用条件 |
|---|---|
| 基礎控除 | 全ての納税者に適用される控除(58万円~95万円、所得に応じる) |
| 青色申告特別控除 | 複式簿記による記帳とe-Taxによる期限内の電子申告で、最大65万円の控除が可能 |
| 青色専従者控除 | 家族に支払った給与を経費として控除可能(要届出・事業専従条件あり) |
| 白色申告専従者控除 | 届出なしで家族分の一定額を控除可能(配偶者:最大86万円、その他:最大50万円) |
| 配偶者控除・配偶者特別控除 | 所得が一定以下の配偶者がいる場合に適用(最大38万円) |
| 扶養控除 | 16歳以上の子どもや親族を扶養している場合に適用(条件:扶養対象者の所得が58万円以下など) |
| 医療費控除 | 1年間の医療費が10万円(または所得の5%)を超えた場合、超過分が控除対象 |
| 社会保険料控除 | 国民健康保険料や国民年金保険料など、本人・家族分の支払額が全額控除可能 |
| 小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済、iDeCo(個人型確定拠出年金)などの掛金を全額控除可能 |
| 生命保険料控除・地震保険料控除 | 契約状況に応じて一定額の控除が可能(最大12万円) |
| 雑損控除 | 災害・盗難・横領などによって資産に損害があった場合に適用 |
| 寄附金控除 | ふるさと納税や特定公益法人への寄附金が対象 |
💡 控除の重要性
正しく経費計上するだけでなく、控除制度も理解し、節税チャンスを逃さないようにしましょう。
気をつけたい節税リスク

節税は正しい知識があってこそ意味を持つため、やり方を間違えたり、制度を悪用したりすると、逆に税務署からの指摘やペナルティを受けてしまう可能性があります。ここでは注意すべきポイントを詳しく紹介します。
過度な節税対策による税務調査のリスク
節税のつもりで行っていた処理が、実はグレーな内容だったというケースは少なくありません。特に経費の過剰計上や証拠書類の不備は、税務署の調査対象になりやすくなります。
税務調査では、帳簿と領収書の整合性や、支出の妥当性がチェックされ、事業に関係のない家族の旅行代や、明らかに私用の支出を経費に計上すると、ペナルティの対象になることもあるため注意が必要です。
「経費にしすぎ」は要注意
何でもかんでも経費にすることは避けるべきです。明確に事業目的がない支出は認められません。領収書がない場合、証拠能力がないとして否認される可能性もあります。例えば飲食費は、事業目的がある打ち合わせなどに限られ、プライベートな飲み会や家族との外食は経費にできません。
✅ ギフトカード購入の注意
AmazonギフトカードやAppleGiftCardの購入は、私的用途と誤解されがちです。必ず用途と領収証を整理して記録を残しておきましょう。
レシート・領収書の管理が甘いと危険
レシートや領収書は「誰が・何に・いくら使ったか」の証明です。これがなければ、たとえ事業用の支出であっても経費として認められないことがあります。
☝ 保管のコツ
日付や内容が不明瞭なものや、感熱紙で印字が消えてしまうようなものは、コピーをとっておくなどの対策が必要です。
節税しすぎると融資に不利になる
節税対策と融資対策は、相反する面があります。節税によって所得を極端に下げすぎると、金融機関からの評価に影響が出る可能性があります。
特に住宅ローンや事業資金の融資を希望する際は、所得額が重要な判断材料になります。過度に利益を圧縮すると「返済能力が低い」と見なされ、希望する金額の借入ができない可能性があります。
融資を考えている場合は、経費を適切に計上しつつ一定の利益を残すなど、ときには節税を控えてでも、利益をしっかり示したほうが有利になる場合があります。
🎁 バランスが重要
目先の節税額にとらわれず、経営全体のバランスを意識して節税に取り組みましょう。
賢く節税するための行動リスト

ここまでの内容を踏まえ、個人事業主が無理なく実践できる節税アクションをまとめました。少しずつ取り組むことで、確実に節税効果が表れてきます。
初心者が最初にやるべき3ステップ
節税を始めるには、次の3ステップを踏むことが大切です。これらの対策を早めに行うことで、確定申告の際に大きな差が出てきます。
ステップ1:会計ソフトや記帳代行の導入
記帳に時間がかかる、苦手だと感じる人は、会計ソフトや記帳代行の活用がカギとなります。特にクラウド型の会計ソフトは、クレジットカードや銀行口座と連携でき、自動仕訳機能が充実しており、初心者でも簡単に扱えます。
また、記帳代行サービスを使えば、仕訳・帳簿作成まで丸投げできるので、本業に集中できるメリットもあります。
ステップ2:必要経費の棚卸し
日々の支出の中に「経費にできるもの」がどれだけあるかを定期的に見直すことが重要です。
必要経費の棚卸しの例
- 今までプライベートとして処理していた通信費や電気代
- 自宅家賃など
上記なども按分すれば経費にできます。
📌 整理の習慣化
レシートや領収書の保管を習慣化し、月ごとに整理しておくことで、年末の確定申告時に慌てずに済みます。
ステップ3:毎月の収支を見える化
「今月いくら利益が出ているのか」「どの経費が多いのか」といった情報を毎月確認することで、無駄な支出に気づけるだけでなく、節税の方向性も見えてきます。
👌 ダッシュボード活用
会計ソフトのダッシュボード機能を活用してグラフや表で事業状況を一目で把握できるようにすることで、節税効果だけでなく事業の健全運営にもつながります。
疑問が出てきたら誰に相談したらよいのか
経理処理や税金処理に不安がある場合、ひとりで抱え込む必要はありません。信頼できる専門家に相談することで、スムーズに解決できます。
疑問が出てきたらスマカクにご相談下さい。
🎁 知識の力
節税は「知っているかどうか」で大きな差が生まれます。無理のない範囲で取り入れられる工夫を実践し、賢く利益を守りましょう。
まとめ

個人事業主の節税は、正しい知識と継続的な取り組みが成功の鍵です。以下のポイントを押さえて、安全で効果的な節税を実践しましょう:
- 基本的な制度(青色申告、控除制度)をしっかり活用する
- 適切な経費計上で無駄な税金を払わない
- 記録と証拠書類の管理を徹底する
- 過度な節税は避け、事業全体のバランスを考慮する
- 専門家への相談を躊躇しない
節税は一時的な取り組みではなく、事業運営の一部として継続的に行うものです。今回紹介したテクニックを参考に、自分の事業に合った節税戦略を構築してください。
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