iDeCoによる節税
老後の資産形成方法の一つであるiDeCo、名前は聞いたことがある方は多いと思います。
iDeCoのポイントを把握し、iDeCoを利用するのに適しているかを確認していきましょう。
Contents
iDeCoの概要

iDeCoは国が後押しする私的年金制度であるため、**「公的年金だけでは不安に感じる人におすすめの年金作りの仕組み」**となります。
資産形成を進めやすくするために税制メリットも設計されています。
iDeCoを正しく理解をして、老後の資産形成を進めましょう。
☝ iDeCoとは
iDeCoは「individual-type Defined Contribution pension plan」の略称です。2001年から始まった自分で作る年金制度です
年金制度におけるiDeCoの位置づけ
日本の年金制度は、3階構造で加入希望者の状況によって利用可能な年金が異なります。
1階部分の国民全員が対象の国民年金と、2階部分の会社員や公務員が対象の厚生年金は公的年金の為、本人の意思にかかわらず加入します。
☝ iDeCoの位置づけ
公的年金に加えて、さらに老後の備えを充実させることを目的とした3階部分にあたる私的年金制度がiDeCoになります。
私的年金は誰でも加入可能
iDeCoは国民年金同様に誰でも加入可能で、自分の意思で加入の有無を決められる私的年金制度です。
💡 私的年金とは
私的年金とは、公的年金のように国や企業に任せず、自分で運用する年金です。
iDeCoの仕組み
iDeCoは「年金にまつわる作業を自身で行う」取り組みであり、必要作業は3ステップで構成されています。
| ステップ | 内容 | 詳細 |
|---|---|---|
| ステップ1 | 自分で掛金を支払う | 月々の掛金の上限<br>• 自営業者 :6.8万円<br>• 会社員・公務員:1.2~2.3万円<br>• 専業主婦(夫):2.3万円 |
| ステップ2 | 自分で掛金を運用する | 運用商品<br>選択した運営機関が提供する商品<br>• 投資信託<br>• 保険商品<br>• 預貯金など |
| ステップ3 | 自分で運用したお金を受け取る | 受け取り方法<br>• 一時金(一括)<br>• 年金(5~20年、または終身)<br>• 一時金と年金の組み合わせ |
掛金の金額変更や支払の停止、運用商品の変更などを自由にできる点が、iDeCoの特徴です。
ただし、金額変更は年1回であったり、支払再開する場合には再度加入申し込みが必要な点は要注意です。
💡 自分でコントロールできる年金
公的年金では、受け取りまでの運用は国や企業にお任せですが、iDeCoでは自分の考えに基づいて、年金の資産形成ができます。
iDeCoをはじめる5ステップ
| ステップ | 内容 | 詳細 |
|---|---|---|
| ステップ1 | iDeCoへの加入資格の有無を確認 | iDeCoの特設ページにある「かんたん加入診断」で資格の有無や掛金の限度額の診断が可能 |
| ステップ2 | 運用商品を検討 | 運営機関(金融機関)により、取扱商品は異なりため、事前に運用したい商品を仮決め |
| ステップ3 | 運営機関を選択 | iDeCoの運営機関一覧ページで、選択可能な金融機関や金融機関の取扱商品や手数料情報を確認 |
| ステップ4 | 加入手続き | 加入希望の運営機関から加入申込書を入手し、必要事項と必要書類を添付・同梱して提出 |
| ステップ5 | 商品と掛金を設定 | 月々5千円以上、千円単位かつ掛金の上限内で希望の商品と掛金の組み合わせを決定 |
iDeCoに興味を持ったら、まずはiDeCoへの加入資格や掛金の有無を確認しましょう。
💡 加入資格の確認が重要
加入資格が無かったり、資格があっても他の年金制度の利用で支払い可能な掛金が無かったりするため、「ステップ1」が重要です。
iDeCoのメリット

✅ iDeCoの活用メリット
- 節税効果
- 運用利回りの期待
- 年金資産の持ち運びが可能
- 運用の手間が無い
資産形成をする際のよくある悩み事は、税金で利益が減少し、運用作業が複雑で面倒なことですが、iDeCoはそのような悩みを抱える心配がないことは大きなメリットです。
節税効果
iDeCoを活用すると、投資活動における3つの局面全てで税優遇のメリットを享受できます。
| タイミング | 税優遇内容 |
|---|---|
| 掛金拠出時 | 掛金は全額所得控除<br>【節税金額イメージ】年収500万の自営業者が毎月6.8万円を拠出した場合<br>1年間の節税額:14万円(所得税と住民税の節税額の合算) |
| 運用時 | 運用益は非課税 |
| 受け取り時 | 年金として受給時は公的年金等控除<br>一時金として受給時は退職所得控除 |
💡 3段階での税制優遇
税金も軽減できるメリットを享受しながら、年金としての資産形成を進めることが出来ます。
運用利回りの期待
iDeCoで活用可能な投資信託を選択すると、大手銀行の普通預金と比べて高い利回りが期待できます。
「日経平均」に1990年から30年間積立投資を行った場合、平均利回りは約1.7%です。
日経平均株価は未だに1990年よりも低い水準ですが、積み立て投資を行うことでトータルでは運用益が発生しております。
普通預金の金利
**現在の「普通預金」の金利は0.001%**のため、積立投資の平均利回りは普通預金金利の1,700倍です。
**「ドルコスト平均法」**のように、毎月定期的に一定金額で投資し続ける場合、商品価格が高いときには少量を、価格や安いときには大量に購入できるのが特徴です。
⚠️ 積立投資の効果
iDeCoで元本保証のない投資信託商品を購入すると元本割れのリスクはありますが、同じ金額で投資をし続ける「ドルコスト平均法」を継続すると、リスクのある資産でも長期的には運用益が期待できます。
年金資産の持ち運びが可能
iDeCoを活用すると、転職や離職をしてもそれまでに形成した年金資産は無駄になりません。
これは転職や離職した際に必要な手続きを行うことで、年金資産をiDeCoと企業年金の間で持ち運びできるからです。
| 転職・離職のケース | 転職・離職前に利用の年金制度 | 転職・離職後に利用の年金制度 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 会社員から自営業 | 確定給付企業年金等 | iDeCo | 本人からの申出により、脱退一時金相当額等又は残余財産を移換可能 |
| 企業型確定拠出年金 | 企業型確定拠出年金の加入者資格の喪失、及び資産の移換の手続きが必要 | ||
| iDeCo | 当初からiDeCoを利用している場合は、変更等の手続きは特段不要 | ||
| 自営業から会社員 | iDeCo | 確定給付企業年金等 | 移換先の確定給付企業年金等の規約で資産移換を受けることができる旨が定められている場合に資産移換可能 |
| 企業型確定拠出年金 | 個人型確定拠出年金の加入者資格の喪失の手続きが必要 |
iDeCoと企業年金の間で年金資産の行き来させるためには、必要な条件を満たし、所定の手続きを行わなければなりません。
💡 年金資産を守ろう
iDeCoから企業年金に、企業年金からiDeCoに移管を希望する場合には、企業の担当窓口に問い合わせをして、年金資産を守りましょう。
運用の手間が無い
iDeCo口座で設定した運用商品は自動的に購入されていくため、パソコンに張り付く必要はありません。
✏️ iDeCo専用口座開設後の流れ
- 掛金配分の設定:iDeCo専用商品から購入商品と掛金の配分を設定
- 掛金の拠出設定:口座振替、もしくは、給与からの天引きで専用口座に毎月入金するよう設定
上記の手続きが完了後、受け取るまでそのまま何もする必要はありません。
⚠️ 自動運用の利便性
iDeCoは一度始まれば、自動的に商品が購入・運用されるため、忙しい方でも実践できる年金としておすすめです。
iDeCoのデメリット

✅ iDeCoの活用デメリット
- 掛金を割り込むリスク
- 60歳まで資金が拘束される
- 手数料等で資金が目減りする
前述したとおりiDeCoは「私的年金制度」であるため、一般的な貯金、保険や投資信託を購入するのとは異なります。
しかし、予めデメリットを踏まえて取り組めば、無理に怖がる必要はありません。
掛金を割り込むリスク
iDeCoは投資信託など、状況によっては高いリターンを期待できる反面、市場環境や経済動向などに影響されて元本割れする可能性があります。
そのため、受給が近い時期に運用益が出ている場合には、運用益を確定するために元本保証の商品への切り替えなどの検討が必要です。
60歳まで資金が拘束される
iDeCoは年金制度であり、受給要件が制度で規定されているため、60歳以降でなければ運用した資産を受け取れません。
年金受給希望者が60歳になった時点で、企業型確定拠出年金とiDeCoの通算加入期間が10年を越えていると実際に受給できます。
iDeCo通算加入期間が10年未満の人の受給年齢
iDeCoで積み立てた資金を受け取れるのが60歳以降であるため、急に現金が必要になった場合には対応できません。
そのため、掛金はあくまで余裕資金の範囲内で設定しましょう。
| 60歳時点の通算加入期間 | 受給開始年齢 |
|---|---|
| 8年以上、10年未満 | 61歳 |
| 6年以上、8年未満 | 62歳 |
| 4年以上、6年未満 | 63歳 |
| 2年以上、4年未満 | 64歳 |
| 1ヶ月以上、2年未満 | 65歳 |
手数料等で資金が目減りする
運用成績に関係なく複数の手数料が発生するため、放置していると投入した資金が目減りしていきます。
| 手数料発生時期 | 手数料の品目 | 手数料金額 |
|---|---|---|
| 加入時 | • 加入時手数料 | 2,829円 |
| 運用時 | • 収納時手数料 | 105円 |
| • 口座管理手数料 | 66円~(運営機関により異なる) | |
| • 信託報酬 | 投資信託商品の場合のみ | |
| 受給時 | • 給付事務手数料 | 440円~(事務委託先金融機関による) |
他にも手数料が発生する制度であることをふまえると、運用で一定程度の利益を出さないと積み立てた掛金に対して受給額が目減りします。
⚠️ 手数料の注意点
運用時には、最低でも「月々170円」程度は手数料が発生します。
iDeCoに適している人、適していない人

iDeCoは運用成績によって元本が変動する年金制度のため、適している人と、適していない人がいます。
適している人
iDeCoの利用に適している人は、iDeCoの税金軽減メリットを最大限に活かしつつ、デメリットを最小化が可能な、長い目で無理せず年金の資産形成ができる人です。
✅ iDeCoが適している人
- 投資期間を長期間確保できる人
- 余裕資金があり、収入も安定している人
- 公的年金に追加して、年金資産を形成したい人
投資期間が長くなると、運用益が非課税のメリットを最大限に活かしながら、運用損失を最小化できるためです。特に重要なのは、長期間の投資期間の確保です。
適していない人
iDeCoで投じた資金は、年金受給のタイミングまで受け取れません。
それゆえ、現預金が十分に確保できていなかったり、収入が不安定だったりして、万一の際のお金としても利用したい人には向きません。
✅ iDeCoに適さない人
- 突然の出費に耐えられるだけの余裕資金が少ない人
- 加入から受給までの期間が短い人
- 課税所得が少ない人
💡 適性の判断ポイント
利用期間が短く、尚且つ課税所得が少ないと、運用損失を被る可能性が高まったり、節税メリットを十分に活かせなったりします。
iDeCo活用のコツと注意点
運営機関の選び方
iDeCoを始める際に最も重要なのが運営機関(金融機関)の選択です。
手数料で比較する
運営機関によって口座管理手数料が異なります。
📌 手数料比較のポイント
- 口座管理手数料:月66円~数百円まで差がある
- 加入時・移換時手数料:ほぼ全ての機関で統一
- 給付時手数料:機関によって若干の差
商品ラインナップで選ぶ
運営機関によって取り扱う商品が大きく異なります。
✅ 商品選択のポイント
- 投資信託の本数と種類
- 信託報酬の水準
- 元本保証商品の有無
- 海外資産への投資可能性
サポート体制を確認
特に投資初心者の方は、サポート体制も重要な選択基準です。
💡 サポート体制のチェック項目
- コールセンターの対応時間
- WEBサイトの使いやすさ
- 投資教育コンテンツの充実度
- セミナーの開催頻度
掛金額の設定方法
家計に無理のない範囲で設定
iDeCoの掛金は60歳まで引き出せないため、家計に無理のない範囲で設定することが重要です。
📝 掛金設定の考え方
- 月々の家計収支を把握
- 緊急時資金を別途確保
- 他の資産形成との バランスを考慮
- 段階的に増額も検討
節税効果を考慮した最適額
所得税率が高い方ほど、節税効果が大きくなります。
年収別節税効果の目安(月1万円拠出の場合)
| 年収 | 所得税率 | 年間節税額 |
|---|---|---|
| 300万円 | 5% | 約1.8万円 |
| 500万円 | 10% | 約2.4万円 |
| 700万円 | 20% | 約3.6万円 |
| 1000万円 | 33% | 約5.2万円 |
運用商品の選び方
年齢に応じた商品選択
一般的に、若い時期はリスクを取って成長性を重視し、年齢を重ねるにつれて安定性を重視する考え方があります。
年齢別推奨ポートフォリオ例
| 年齢 | 株式比率 | 債券比率 | 考え方 |
|---|---|---|---|
| 20~30代 | 70~80% | 20~30% | 長期運用でリスクを取る |
| 40代 | 60~70% | 30~40% | バランス重視 |
| 50代 | 40~60% | 40~60% | 安定性を重視 |
分散投資の重要性
一つの商品に集中投資するのではなく、複数の商品に分散投資することでリスクを軽減できます。
✅ 分散投資のポイント
- 地域分散:国内・先進国・新興国
- 資産分散:株式・債券・不動産
- 時間分散:積立投資によるドルコスト平均法
定期的な見直しの重要性
年1回の見直しを推奨
iDeCoは長期投資が前提ですが、年1回程度は運用状況を確認し、必要に応じて調整することが重要です。
📅 見直しのタイミング
- 誕生月など決まった時期
- 大きなライフイベント時
- 市場環境の大きな変化時
見直しのポイント
✅ 見直しチェック項目
- 運用成績の確認
- 資産配分の確認
- 掛金額の妥当性
- ライフプランの変化
- 商品の入れ替えの必要性
節税メリットを活用しながら資産形成を
iDeCoは節税メリットがあり、他の年金制度との行き来が出来るようにも設計されています。
職業を問わず、現在の公的年金だけでは、老後が経済的に不安なのは言うまでもありません。
自分でも年金の準備をする必要性を感じている方は、国のサポートが得られるiDeCoを検討してみても良いかもしれません。
iDeCo活用の成功の秘訣
1. 早期開始
iDeCoは長期投資が前提のため、早く始めるほど複利効果を享受できます。
2. 継続投資
市場の短期的な変動に惑わされず、継続的に投資することが重要です。
3. 適切な商品選択
自分の年齢、リスク許容度、投資期間に適した商品を選択しましょう。
4. 定期的な見直し
年1回程度は運用状況を確認し、必要に応じて調整を行いましょう。
最後に
iDeCoは老後の資産形成において非常に有効な制度です。税制優遇を受けながら資産形成ができるメリットは大きく、特に長期投資が可能な方には強くおすすめできます。
ただし、60歳まで資金が拘束される点や手数料がかかる点など、デメリットも理解した上で利用することが重要です。
⚠️ 早めの対策が重要
老後も不自由しない生活ができるよう、早めにコツコツと対策を進めましょう。
自分の状況に合わせて、iDeCoを上手に活用し、安心できる老後を迎えられるよう資産形成を進めていきましょう。
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