個人事業税の基本と対策
所得税・消費税とは違いあまり身近に感じない個人事業税ですが、個人事業主として活動する以上、避けて通れない重要な税金です。
事業の種類や規模によって課税される条件や税率が異なるため、きちんと知識を身につけておくことが、適切な事業計画と資金管理の第一歩となります。
このページでは、個人事業税を解説します。
Contents
目次
個人事業税の基本知識

事業所得を得ている個人に対して課され、地方自治体(都道府県)の財源として利用されます。
具体的には、事業活動を行っている個人が、その活動から得た所得に基づいて支払うものであり、所得税や消費税とは異なる性質を持っています。
☝ 基本的な定義
個人事業税は、日本において個人事業主が支払う地方税の一種です。
他の税金との違い
個人事業税は他の主な税金とは異なる特徴を持っています。
💡 管轄の違い
所得税が国税、個人事業税は地方税であるため、問い合わせ窓口も異なり、所得税については税務署、個人事業税については都道府県税事務所が窓口となります。
直接税と間接税
消費税が商品やサービスの価格に上乗せされ、最終的に消費者が負担する間接税であるのに対し、個人事業税は事業主本人に直接課される直接税です。
📙 課税の仕組み
消費税は取引の都度転嫁されていくのに対し、個人事業税は事業主が自らの所得に基づいて直接負担する税金となります。
納税義務者の範囲
所得税はすべての個人に課される可能性がありますが、個人事業税は特定の事業を営む個人のみが納税義務者となります。
給与所得者や不動産所得のみの個人は、いくら高額な所得があっても個人事業税は課されません。また、農業や一部の医療業など、非課税とされている事業も存在します。
税務管轄の違い
所得税が国税、個人事業税は地方税であるため、問い合わせ窓口も異なり、所得税については税務署、個人事業税については都道府県税事務所が窓口となります。
この管轄の違いは実務上重要な意味を持ちます。例えば、納税証明書が必要な場合、所得税については税務署で、個人事業税については都道府県税事務所で取得する必要があります。
📌 実務上の注意点
納税方法や期限、申請手続きなども異なるため、それぞれの窓口に適切に対応することが求められます。
納税対象者となる要件

都道府県が課す地方税の個人事業税は、事業を営む個人に対して課される税金です。しかし、すべての個人事業主が納税対象になるわけではありません。
特定の業種や所得金額など、いくつかの条件を満たした場合にのみ課税されます。
個人事業税対象者
個人事業税は、一定の業種に属する個人事業者に対して課税されます。
これには、製造業、建設業、卸売業、小売業、サービス業などが含まれますが、農林水産業や一部の医療業などは非課税となります。
⚠️ 重要な注意点
雑所得であっても、事業内容が対象事業に該当する場合は個人事業税の対象となります。事業所得だけが課税される税金ではないので注意しましょう!
対象者の税率
| 税率 | 対象となる事業 |
|---|---|
| 5% | 物販業・保健業・金銭貸付業・不動産業・印刷業・広告業・案内業・医師・士業・コンサルタント・デザイン業など |
| 4% | 畜産業・水産業など |
| 3% | あんま・マッサージ・指圧・はり・灸など |
対象者の税率は業種によって異なるので、自らの業種の税率を確認しましょう。
⚠️ せどり・物販事業者への適用
物販・せどりビジネスを行っているユーザーの多くは、事業税の税率区分で5%が適用されることが一般的です。
個人事業税は経費となる
個人事業税は事業所得の必要経費として計上できますので、所得税の課税対象となる所得が減少し、最終的な税負担を軽減する効果があります。
👌 資金運用への影響
このような税務上の取り扱いは、個人事業主が効率的に資金運用を行うために重要です。
計算方法
都道府県税事務所から、前年の確定申告の内容をもとに計算しその金額が記載された納税通知書が送付されますが、年間の税負担を予測し、それに対する資金計画を立てるために大まかな計算方法は理解しておきましょう。
✅ 個人事業税の計算式
( ① + ② - ③ ) × ④
① 所得金額
② 青色申告所得控除額(65万or10万)
③ 事業主控除(290万)
④ 税率(3~5%)
事業主控除は開業・廃業により事業期間が1年未満であれば按分が必要です。
例えば3ヶ月の場合は、290万円×3/12ヶ月=72万5000円となります。
📌 申告の必要性
個人事業税の納付額は所得税のように、事業者が自分で計算したものを申告する必要はありません。
経費として計上する際の注意点
経費として計上する際は、必要な書類を整備し、正確な申告を行うことが求められており、税務署からの指摘や調査に備え、適切な記録を保持することが重要です。
💡 リスク軽減の重要性
このような準備を通じて、個人事業主は税務上のリスクを軽減し、安心して事業を運営することができます。
地方税に関する注意事項

個人事業税を適切に管理し、スムーズに納税を行うためには、以下の注意点に留意することが重要です。
突然届く納税通知
通常、自治体からの通知によって納付額が知らされますが、この通知は事業年度が終了した後に届くことが多いため、つい忘れてしまうことがあります。
自治体からの通知を定期的に確認し、期日を逃さないようにカレンダーやリマインダーを活用しましょう。
事業年度終了後、通知が届く前に自分でも納付額を予測し、準備を進めておくことが大切です。
納税義務の対象か
一部の個人事業主は、自分が個人事業税の納税義務を負っていることに気づかない場合があります。
製造業やサービス業など、多岐にわたる業種が対象となります。自分の事業が、個人事業税の対象となる業種に該当しているかを確認しましょう。
自分の所得が課税基準を超えているかを確認することも重要です。所得が基準を超えている場合、納税義務が発生します。
⚠️ 確認の重要性
自身の納税義務について不安がある場合は、税務署に正確な情報を確認しましょう
免税となる事例

個人事業税の納税義務から除外される条件を知ることは、事業計画や資金管理において重要です。
事業規模や青色申告の活用によっては、納税義務が免除されるケースがあるため、自分のビジネスが免税対象となるかどうか、主な条件と判断基準を確認していきましょう。
事業所得が290万円以下
| 事業を行なっていた期間 | 事業主控除 | 事業を行なっていた期間 | 事業主控除 |
|---|---|---|---|
| 1ヶ月 | 24万2,000円 | 7ヶ月 | 169万2,000円 |
| 2ヶ月 | 48万4,000円 | 8ヶ月 | 193万4,000円 |
| 3ヶ月 | 72万5,000円 | 9ヶ月 | 217万5,000円 |
| 4ヶ月 | 96万7,000円 | 10ヶ月 | 241万7,000円 |
| 5ヶ月 | 120万9,000円 | 11ヶ月 | 265万9,000円 |
| 6ヶ月 | 145万円 | 12ヶ月 | 290万円 |
✅ 免税の基準
事業所得が290万円以下の場合、免税となることがあります。
事業所得は、事業活動から得た収入から必要経費を差し引いた金額を指すため、事業の規模が小さく、所得が290万円を超えない場合には、個人事業税の納税義務が発生しない可能性があります。
事業を行なっている期間が年度内で12ヶ月満たない場合、事業主控除は上表の通り減少します。
青色申告における赤字繰越の特例
青色申告を行っている個人事業主で、過去3年の赤字を繰り越している場合、個人事業税が免税となることがあります。
この措置は、事業が一時的に不振である個人事業主を支援する目的で設けられています。
👌 青色申告の活用
青色申告は、税制上の優遇措置を受けられる申告方法で、正確な帳簿を作成し、税務署に届け出を行った場合に利用できます。
その他
地方自治体によりさまざまな免除規定があります。
例えば、「東京都では災害により事業用資産に被害を受けた場合、被害の程度に応じて減免措置が適用される可能性があります」。また、「京都府では伝統産業従事者への特別減免制度」なども存在します。
✅ 地域特有の制度確認
このような地域特有の制度は定期的に見直されることもあるため、詳しくは事業所管轄の税務署へご確認ください。
納税時期・納税方法

年2回の納税時期を事前に把握し、計画的な資金準備を行うことが事業運営の安定につながります。
⚠️ 計画的な資金管理
計画的な資金管理のためにも、いつ、どのくらいの金額が必要になるのか、そしてどのような方法で納付できるのかを事前に把握しておきましょう。
納付月は8月と11月
個人事業税の納付書は、通常、納付の時期に合わせて8月ごろに地方自治体から送付されることが多いです。 具体的な時期や送付方法(1度に2回分同封されるか、2回に分けて送付させるかなど)は地方自治体によって異なります。ご自身が事業をされている地方自治体にご確認ください。
☝ 特別な場合の注意
所得税の修正申告をした場合、更正・決定が行われた場合、事業を廃止した場合等の特別な場合は納付月はこの限りではありません。
納付方法
主な支払方法は下記の方法となります。
📌 支払い方法
- 納付書を金融機関や都道府県税事務所の窓口、コンビニなどへ持っていき現金で支払う
- 口座振替
- クレジットカード納付
- スマートフォン決済
- 地方税共通納税システムeLTAXを使って電子納税
事業税管理のまとめ

個人事業主にとって個人事業税は意外と盲点になりやすい税金です。
個人事業税の仕組みを理解することで、突然の通知による資金繰りの混乱を避け、計画的な経営が可能になります。また、290万円以下の所得での免税可能性や青色申告での赤字繰越による免税など、知っておくべき特例も把握しておきましょう。
📙 節税効果の活用
個人事業税は翌年の経費にもなるという節税ポイントも覚えておくことで、総合的な税務最適化につながります。
節税対策としての視点
個人事業税は事業所得290万円以下の場合、免税となります。そのため、事業所得が290万円前の場合は、合法的な範囲での経費管理を工夫することで、納税額を抑えることができる可能性があります。
また、青色申告を活用した赤字の繰越控除も、個人事業税の節税に効果的です。過去3年以内の青色申告による赤字を繰り越して相殺することで、課税所得を減らせる場合があります。
⚠️ 長期的な税務戦略
長期的な視点での税務戦略を考える際に重要なポイントです。
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