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損益分岐点の考え方

「あとどれくらいで黒字になるのかわからない」「固定費と変動費の違いがイマイチわからない」といった悩みを耳にします。このページでは、赤字と黒字の分岐点となる損益分岐点について、詳しく見ていきます。

Contents

目次

  1. 損益分岐点を理解する
  2. 赤字回避のメリットと実践方法
  3. 理解していない場合に起こるリスク
  4. 損益分岐点を理解するために必要なこと
  5. 損益分岐点の考え方-FAQ-

損益分岐点を理解する

損益分岐点は、「いくらで黒字になるか」を示す指標で、費用と売上が交わる値を示したものです。いわゆる「管理会計」と呼ばれる分野で、普段帳簿をつけたり損益を計算する「財務会計」とは異なる会計の考え方となります。上記の画像にある通り、固定費+変動費の合計と売上がちょうど交わる点が損益分岐点です。仮にこの場合の損益分岐点売上高が100であれば、売上高100未満は赤字になり、売上高100以上は黒字になるということです。

実践的な活用 💡 損益分岐点に対しての理解や、その計算方法について知識を高めていくと、赤字にならない売上高を意識して事業を行うことができ、仮に赤字に転じている場合も、計算式によりすぐに**「どれくらいの赤字か」「あとどれくらい売れば黒字になるか」**を事実ベースで判断できるようになります。

基本用語の理解

損益分岐点はアカデミックで、少し専門的な内容を含みます。その際に以下の4つの言葉の意味を正しく理解しておくと、スムーズにページの内容に入っていけると思うので、ここで簡単に説明します。

売上高

売上高は、基本的に**「販売単価×数量」**で求められます。「売上高」と「売上」は同じ意味だと考えて問題ありません。売上高は、上記のようにとてもシンプルな計算式で表現することができます。

売上高を求める式 📝 販売単価 100円 / 数量 200個 / 売上高 20,000円(100×200)

固定費

固定費は、売上高や販売数量の増減に関わらず一定の金額が発生する費用のことをいいます。

固定費の例 ✅ 店舗やオフィスの家賃 / 店舗の光熱費 / 従業員の給与や賞与

固定費の特徴は毎月一定で発生するというのがポイントです。借りている店舗の家賃や支払っている給与は月々で大きく変動することはないため、固定費となります。

固定費の特徴 ☝ また、固定費は売上があがっていなくてもかかる費用です。売上があがっていない場合に、従業員の給与を下げたり、オフィスの家賃を下げたりすることはできないというのも固定費の特徴です。

変動費

変動費は、売上高や販売数量の増減に伴って変動する費用のことを言います。

変動費の例

  • 材料費などの仕入
  • 外注費
  • 運送費

変動費の特徴は、売上高や販売数量が増えれば増えるほど、それと同時に増える費用です。例えば、商品が売れれば売れるほど、その材料費が必要になってきますし、運送費も売れれば売れるほど、多くの顧客に運ぶための費用がかかるので、売上によって変動します。

外注費について ✅ 外部に委託してサービスを提供する場合、外注費は変動費となり、委託費用が増えるほど売上高も伸びるため、外注をしていない場合と比べて変動費としての影響が大きくなります。

限界利益

限界利益とは、その商品やサービス単体の収益力を表す利益です。

限界利益の計算式

売上ー変動費=限界利益

例えば、コーヒーショップでコーヒーが500円で売られていたとします。そのコーヒーを売るために、コーヒー豆やコップなどの費用が300円かかったとすると、コーヒーの限界利益は200円になります。(限界利益=売上ー変動費)コーヒー豆や提供する際のコップは、売上に直結する費用のため、変動費となります。

営業利益への展開 ✅ そのあとに、限界利益から家賃や人件費などの固定費を減らすことで、利益(営業利益)と呼ばれるものになります。

計算方法

損益分岐点を知ることが重要だとわかっても、実際にどうやって計算するのか疑問に思うでしょう。具体的な損益分岐点の計算式について見ていきます。

計算式

固定費÷【(売上高ー変動費)÷売上高】

損益分岐点の計算例

計算式がわかりにくいので、以下の例を見ていきます。

計算式の例 ✅ 固定費:500万円 / 変動費:300万円 / 売上高:1,500万円 / 損益分岐点売上高=625万円 / 500÷【1,500-300)÷1,500】=625万円

上記の場合、625万円未満であれば赤字、625万円以上は黒字ということになります。

計算のポイント 📌 計算式は複雑に見えますが、使っている数字自体は、**【固定費、変動費、売上高】**の3つです。式だけでも覚えておくと、自身の事業の損益分岐点売上高(赤字と黒字の分岐点)がいくらなのかを、すぐに計算することができます。

赤字回避のメリットと実践方法

**損益分岐点は、赤字と黒字の境目です。**赤字をできるだけ避けたいと考えるのであれば、損益分岐点は低ければ低いほうが良いです。損益分岐点が低い方が良い理由を、具体的なメリットとともに確認していきましょう。

損益分岐点を下げるメリット

下記の2社を比べた場合、A社は売上高100万円で赤字から黒字になります。一方で、B社は1,000万円の売上高がないと黒字になりません。つまり、損益分岐点がB社のように高い場合、より多くの売上高を求められ、損益分岐点が低い企業と比べて、経営を圧迫するきっかけにもなります。

損益分岐点が高い場合と低い場合 📝 A社 損益分岐点 100万円 / B社 損益分岐点 1,000万円

必要売上高が下がる

損益分岐点を下げると、事業を維持する上で必要な売上高が下がります。100万円を稼ぎ続ける場合と、1,000万円を稼ぎ続ける場合のハードルを考えればどちらが難しいかは明白です。

事業継続の観点 ☝ より長く事業を行う上で、最低限の売上高(赤字にならない売上高)を低めに設定できるということは、損益分岐点を下げることによる大きなメリットです。

金銭的、精神的にも余裕が生まれる

損益分岐点を下げることで、金銭的に余裕が生まれ、より利益を出せる体質に変わることで精神的にも余裕が出てくる場合もあります。

長期的視点の重要性 💫 その結果、目の前の利益だけを追う必要がなくなることで長期的な視点で経営を考えられるようになり、事業の継続期間がより長く続けられることにつながります。

損益分岐点の下げ方

損益分岐点を下げることは、安定した経営を続けるために欠かせないため、目の前の利益だけでなく、長期的な視点でコスト削減や収益向上を考えることで、より持続可能な事業運営につながります。固定費や変動費の管理、価格設定の工夫など、さまざまな方法で損益分岐点を下げることが可能です。

実行時の注意点 ⚠️ しかし、実行することは簡単ではありません。固定費や変動費を下げることで、商品やサービスのクオリティが下がってしまう可能性もあります。また商品単価をあげるために付加価値を提供した結果、自身や従業員の労力が増えて、長時間労働になる可能性もあります。

固定費を下げる

固定費は事務所の家賃や、雇っている人の給料で、固定費は売上に関わらず**「固定」**でかかってくる経費なので、一度下げたら大きく損益分岐点を下げるきっかけになります。また、家賃や給料などの固定費は変動費の仕入や運送費と比べて金額が大きいため、損益分岐点を下げるうえで重要になってきます。

実行の困難性 ☝ 大きな影響があるとはいえ、事務所の家賃や給料をすぐに下げることは難しいはずです。事務所の無駄なスペースが多い場合は、引っ越しを検討したり、余剰な人員がいれば削減するなどの対応が求められます。

変動費を下げる

変動費を下げることも損益分岐点を下げる方法につながります。例えば、これまでより安い企業から仕入をしたり、外注費を減らして自身で行うという考えもあります。一方で、変動費は売上高の増減に応じて変動するものです。

売上への影響 ✏️ 変動費を下げようとすると、売上も下がってしまう場合があります。売上も同時に下がってしまっては意味がないので、売上は維持しつつ、変動費を下げられないか検討する必要があります。

商品単価を上げる

売上をあげるという観点から損益分岐点を下げる方法です。

売上高をあげる方法

  • 「数量×販売単価」に基づいて、数量をあげる方法
  • 販売単価をあげる方法

ここでは販売単価をあげることに着目していきます。これまでの商品やサービスに加えて顧客にとっての価値を見極めて、付加価値を提供することで、販売単価を上げることにつながります。

付加価値の重要性 ✅ より付加価値を提供することで、商品の単価をあげる工夫が大事です。

理解していない場合に起こるリスク

企業が健全な経営を続けるためには、売上や費用の管理が不可欠です。しかし、損益分岐点を正しく理解していない場合、適切な経営判断ができず、思わぬリスクに直面する可能性があります。損益分岐点を理解していないとどのようなリスクがあるのでしょうか。

資金繰り悪化の可能性

損益分岐点を理解していないと、資金繰りが悪化する可能性があります。その理由は、いくらの売上をあげればよいかを理解していないからです。

経営への影響 ☝ 【損益分岐点】という考え方を知らずに、経営をしていると、費用の中身によって損益分岐点に差があることに気が付きません。

経営を左右する売上高

下記の2社を比べた際に、費用の額(変動費+固定費)は一緒ですが、損益分岐点売上高、つまり赤字にならないために必要な売上高に大きな違いがあります。

※単位:万円売上高変動費固定費損益分岐点売上高
A社1,500500300450
B社1,500300500625

A社は450万円の売上で黒字になるのに対し、B社は625万円以上の売上で黒字になります。

損益分岐点の計算例 📝 計算式:固定費÷【(売上高―変動費)÷売上高】 / A社の場合:300÷【(1,500-500)÷1,500】=450 / B社の場合:500÷【(1,500-300)÷1,500】=625

費用を変動費と固定に分ける考え方は、損益分岐点を考える際に出てくる考え方で、通常の損益計算書を眺めているだけでは分かりません。

経営への深刻な影響 ⚠️ 同業他社と同じ売上高、同じ費用であっても、費用の中身が違うことで、資金が回らなくなったり、倒産してしまう危険もあります。損益分岐点売上高、赤字にならない最低限の売上高を理解して、資金に余裕のある経営をしていくことが重要です。

現状を正しく把握できない可能性

損益分岐点を理解するということは、**「いくらで黒字になるか」**を正しく認識するということです。結果として、現状がどのくらいの赤字(黒字)なのかを理解し、どれだけの売上をあげればよいか雰囲気ではなく、数字で把握することができます。「新しく備品を購入したい」「より広いオフィスに移転したい」などの悩みが出た場合、すぐに損益分岐点の計算をすることで、どれだけの売上が必要かを理解することができます。

現状把握の重要性 📌 適切な判断をするために現状を知ることが重要で、現状を知るためには、損益分岐点を正しく理解することが必要不可欠です。

損益分岐点を理解するために必要なこと

損益分岐点の概要やそれを下げる方法などを見てきましたが、かなり学問的で専門的すぎると感じた方もいたかと思います。しかし、損益分岐点を理解せずに、事業を長く安定して続けていくことは容易ではありません。まずは、経費を変動費と固定費に分けて考える習慣をつけることが重要です。固定費と変動費を考える上での重要な視点は、「売上高が増えたら増える支出かどうか」です。

実践的なアプローチ ⚠️ 経費を固定費と変動費に分けて考えることができれば、損益分岐点をすぐに求めることができます。現状を正しく認識することは、事業を続けていく上では必ず必要になってきます。今回のページで理解を深めて、今後の経営の判断に活かしていきましょう。

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