公認会計士、税理士の違い
税理士と公認会計士は業務内容が大きく異なります。
税理士や公認会計士になるには、どちらも難関の試験を突破して国家資格を取得しなければなりません。
税理士と公認会計士はどちらも税務や会計などを中心とした業務を生業としていることは共通しているため、一見同じような仕事をしているように思えますが、実は業務内容に大きな違いがあります。
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社会的使命の違い
税理士と公認会計士は同じ会計系の資格ではあるものの、求められる社会的使命が異なります。
税理士法と公認会計士法
税理士法と公認会計士法の第1条には、それぞれ次のように使命が掲げられています。
税理士法1条
税理士は、税に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする公認会計士法1条
公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする
つまり、税理士は納税者が税金を払い過ぎることなく適正な税金をきちんと納められるようにサポートすることが使命となっています。
一方の公認会計士は虚偽の財務情報によって投資家や債権者などの利害関係者が損害を被ることを防ぐため、企業等の決算書が正しく作成されているかを監査することにより企業の社会的信用を高めるためのサポートをすることが使命となります。
税の専門家と会計の専門家
上記からもわかるように、税理士と公認会計士は独立した第三者としての立場で業務を行う点は共通していますが、社会的に期待されている業務が異なります。
税理士は「税に関する専門家」であり、納税者を手伝うことにより国の根底である税金制度を支えること、 公認会計士は「監査及び会計の専門家」であり、監査によって国民経済の発展に貢献することが期待されています。
税理士と公認会計士の独占業務の違い
税理士と公認会計士はそれぞれで独占業務を持ち、請け負う案件も大きく異なります。
まず、税理士の独占業務は「税務業務」で、税理士法により税務代理、税務書類の作成、税務相談を行うと定められています。
それぞれの内容を簡単に説明すると以下のようになります。
税理士の独占業務
【税務代理】→納税者の代わりに税務署等へ税金に関する申告・申請を行ったり、税務調査に立ち会い、納税者の代わりに税務調査の対応を行ったりする業務。
【税務書類の作成】→確定申告書など税務署に提出する書類を納税者に代わって作成する業務。
【税務相談】→個別具体的な税に関する相談に応じる業務。
上記の税に関する3つの業務は税理士のみに許されている独占業務です。
もし、税理士資格を持たない人が税金に関する代理や申告書の作成を行ったり、無料でも税金に関しての相談等、税理士の独占業務を行った場合には法律違反となり罪に問われます。
※個別具体的な相談でなければ法律違反にはなりません。
公認会計士の独占業務
一方、公認会計士の独占業務は「監査業務」になります。
これは公認会計士法により、”財務書類の監査又は証明をすること”と定められています。
企業が公表する貸借対照表や損益計算書等の財務諸表が適正であるかどうかを監査し、監査した財務書類の内容が適正であることを独立した第三者の立場から公に証明する業務です。
監査対象の企業
監査を受けなければならない企業は「上場会社」「資本金が5億円以上」あるいは「負債額が200億円以上」である株式会社等に限定されています。
上場会社の決算の内容によって投資家は株の取引を行いますが、もし粉飾された財務諸表であれば株式投資を行おうとしている投資家の意思決定を誤らせる危険があります。
決算の内容が正しいものであると公認会計士が監査することで、投資家や債権者は上場会社の財務諸表を信頼し、どの会社にお金を貸すか、どの会社に投資をするかの判断を下すことが可能になります。
税理士と公認会計士のクライアントの違い
税理士のクライアント
税理士は税金に関することが業務の中心となるため、税金を納める必要のある法人・個人すべてが税務業務の対象になります。
そのため、個人事業主や中小企業、大企業など幅広いクライアントに対し業務を行います。
公認会計士のクライアント
公認会計士はクライアントの幅としては狭く、監査が必要とされているクライアントに業務を行います。
監査が必要なクライアントとは、上場会社、資本金5億円以上または負債の合計金額が200億円以上の株式会社、学校法人、独立行政法人、公益社団・財団法人等に限定されますので
公認会計士のクライアントは主に大企業となり、中小企業に対し業務することは一般的にはありません。
独立性
税理士はクライアントの事業発展のために事業計画の作成や金融機関からの融資のサポート等のコンサルティングを行い、事業発展を経営者とともに考えサポートすることができます。
公認会計士が監査業務を行う場合はクライアントから独立していることが条件となります。
独立していないと第三者としての立場を保った判断ができないため、公認会計士は監査業務を行うクライアントと深く付き合いをすることや、クライアントの事業発展のために直接サポートすることは禁止されています。
まとめ
税理士と公認会計士ともに会計分野の専門家として活躍していることから、一見似ているような印象がありますが、これまで見てきたように期待される役割や業務内容やクライアントなどで明確な違いがあります。
そのため私たち、個人事業主や法人の社長は公認会計士ではなく税理士に依頼するのが一般的です。
税理士は相談者の側に立って税務に関する依頼を引き受ける「税に関する専門家」、公認会計士は中立の立場から監査業務をおこなう「監査及び会計の専門家」としての役割が期待されています。
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